第45話 大学日常回 教授は、黒板に切り抜きを書く
大学日常回
教授は、黒板に切り抜きを書く
1
嫌な予感は、出席前からしていた
講義室の前。
主人公は、
立ち止まっていた。
理由は単純。
友人が、
笑いをこらえながら言った。
「……
今日の○○学概論さ」
「教授、
妙に機嫌いい」
「やめて」
2
講義は、普通に始まった
教授は、
淡々と黒板に書く。
「本日のテーマ:
観測と判断」
主人公。
(終わった)
3
黒板に書かれた“例”
教授は、
振り返って言った。
「さて」
「皆さん」
「最近、
“検証文化”
という言葉を
耳にしませんか?」
講義室が、
ざわつく。
主人公は、
目を閉じた。
4
教授、例え話が具体的すぎる
「例えば」
教授は、
黒板に書く。
・何もしていないのに
・疑われる
・説明すると
余計に怪しまれる
主人公の隣の友人が、
小声で言う。
「……
お前じゃん」
「言うな」
5
教授、配信ネタを匂わせる
教授。
「この現象を」
「ある学生は
“炎上しかける”
と表現していました」
教室、
一斉にこちらを見る。
主人公。
(やめて)
6
逃げ道は、ない
教授は、
さらっと言う。
「なお」
「この例は、
匿名の事例です」
全員。
「(絶対匿名じゃない)」
7
講義が、配信の続きになる
教授。
「では質問です」
「この学生は」
「なぜ
“何もしていない”のに
疑われたのでしょうか」
教室が、
静まり返る。
誰も手を挙げない。
主人公以外。
8
指名される地獄
教授、
主人公を見る。
「では、
あなた」
主人公。
「……
僕ですか」
「ええ」
逃げられない。
9
主人公の回答(真面目)
主人公は、
腹をくくる。
「……
観測されている
という前提があると」
「行動の有無自体が
意味を持ってしまうから
だと思います」
教室。
「おお……」
教授。
「良いですね」
(救われた?)
10
教授、最後に刺す
教授は、
微笑んで言った。
「ちなみに」
「この事例を
配信で見た人は」
「“何も起きないのが
一番面白い”
と言っていました」
教室、
爆笑。
主人公。
(殺して)
11
講義終了後
友人。
「教授、
絶対
配信見てるよな」
「……
見てる」
「次、
切り抜き出るんじゃね?」
「やめろ」
オチ
単位は、配信より怖い
帰宅。
自動販売機が、
静かに表示する。
最重要観測者:
教授(再確認)
「更新するな」
由衣から、
メッセージ。
「講義、
配信の続きだった?」
「公開講義だった」
「草」
自動販売機は、
静かに光る。
能力は隠せる。
配信も誤魔化せる。
でも講義は逃げられない。
それが、
大学生配信者の
現実だった。
――
次回講義予定:
「炎上と説明責任(配信例あり)」
欠席は、
単位を失う。
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