第3話桜が散ったあとに
「この問題はこうじゃない!こうとくんだ」
そう言って僕は望に勉強を教えてた。
「ちょっと慎くん、もう少し優しく教えてよね」
そう言って望は不満そうな顔をした。
「俺にあるのはスパルタ!」
僕はこれでも真面目に勉強を教えてるつもりだ
「ちょっと、今の時代にスパルタって、しかも女子に対して慎くん女の子にモテないでしょ?」
そう言って慎の顔を見た。
「モテなくて結構!俺は一生独身でいいと思っている!」
俺は基本的に女というものは嫌いだ、女といると疲れるそう思っていた。
「寂しい考えー、もっとさぁー学生らしく恋愛とか青春とか興味ないの?」
「ない!」
「目の前に同い年の女の子がいるのにハッキリいうわね、、」
そんなこと言う望の顔を見て少しは優しい言葉をかけてあげようと思った。
「なんだよ望、傷ついたのか?大丈夫か、興味ないから」
するとその言葉に望は少し怒った。
「ちょっと慎くん!少し人の心配してすぐ突き落とすとか本当にデリカシーなさすぎ!」
慎は望の顔をみて笑った。
「んなことはいいから勉強に戻るぞ」
そう言って僕たちは勉強に戻り、僕は勉強を真面目に、やっている望の横顔が太陽の光のように美しく見えた。望は勉強はぼちぼちできるようだった。これなら学校に行っても平気だと思った。
「ちょっとここら辺で休憩にするか!」
そう言って僕は自分のベッドに戻り腰を下ろした。
「はい!慎くん」
そう言って望は引き出しからジュースを出して僕に向かって投げた。
「ぬるいけどちょっと我慢してね。」
僕は望から受け取ったジュースを開けて1口飲んだ。
そして僕は窓に映る桜の木を見た。
「もうほとんど桜ないなぁー、」
そういうと望は寂しそうな顔をして窓の外にある桜の木を眺めながら答えた。
「この桜の木はね、何人もの人を天国におくってるんだって。」
まっすぐ見る望の顔がまるで自分の死を知ってるように思えた。
「望はなんでそんな悲しいこと言うんだ?まるで望が天国へ行くような言い方じゃないか。」
そう言って僕は言った。
「私ね、知ってるんだ自分が、長く生きれないこと、でもそれを言うと両親が悲しむから言わないようにして明るく振舞っているんだよ、それでもたまにこうやって弱音をはくことがあるの、」
そう言われて僕は寂しそうな顔をしている望になにか言わないといけないと思い口を開いた。
「悲しいこと言うなよ、余命何年って言われてもそれ以上生きてる人もいる、結局人間誰しも分からないんだよ、だからそんなこと言わずに毎日生きていればきっと元気になるよ。」
すると望は慎の方を向いて答えた。
「慎くんありがとう、なんだかんだ言って慎くんって優しいんだね」
僕は望にそういわれ、自分のアドバイスが望のためになったのかと不思議に思った。望はこの病院に長く入院していて色んな人を見てきたと思うと、僕の言った言葉は伝わったのだろうかと思った。
「ところで慎くん、学校では部活とか入っているの?」
その言葉をきいて僕は下を向いた。
「、、帰宅部、、」
すると望は笑って答えた。
「なにそれ!何も入ってないの?ねぇー退院したら何か部活入った方がいいよ!絶対学校生活楽しくなるよ!」
そう言われて僕は呆れた顔をして望の顔を見た。
「あのなぁー、あと1年しかないのに今さら部活入るやついるのか?それにうちら受験だろ、」
入院して僕は4日がたち、ギブスが外れて少し歩けるようになり少しづつ外でリハビリするようになった。望はその様子を窓から見て、たまに手を振ってくれる、そんな姿を見て僕は望と一緒に歩ける日を願った。
「慎くんすごいね!もう歩けるんだ、いいなぁー、私も慎くん見たく歩きたいよ。」
そう言われて僕はあることを思いついた。
「俺が支えてやるから1階の売店まで行ってみるか?」
そういうと望は目を思いっきり開いて嬉しそうに答えた。
「え!本当にいいの?嬉しい!やったぁー!」
そして僕は望に肩を貸して1歩1歩ゆっくり歩きた。
「こうやって一緒に歩いているとカップル見たくて恥ずかしいね」
そう言ってきた望に僕は前を向いて話した。
「ノロノロ歩きでカップルと言うか!介護しているって感じだよ」
そういうと望は笑った。
「介護かぁー、でもこうやって異性と歩くの憧れてたちょっとドキドキするね!」
僕は望の顔を見て恥ずかしくなり望の肩に乗っかってる手を強く握った。
普通の人が歩いて1階の売店まで行くのに5分のところを僕と望は15分かけて売店についた。
僕たちは売店でアイスを買って近くの椅子に座って食べた。
「自分で歩いて買ったアイスは美味しいね」
そう言って望は嬉しそうに僕の顔を見て笑った。
「運動したからだろ」
僕は恥ずかしかったのでぶっきらぼうに答えた。
「ねぇー慎くん、また一緒に売店まで行ってくれる?」
僕はアイスを食べながら
「いつでもいいぜ、俺で良ければ」
リハビリも終わり普通に歩けるようになった僕は退院の日荷物を片付けていると望が僕を呼んで手紙を渡してきた。
「なにこれ?別に退院しても毎日病院へ見舞いに来るぞ?」
すると望は顔を赤くして恥ずかしそうに言った。
「感謝の手紙、恥ずかしいから家に着いてから読んでね」
僕はそれを見て
「わかった、家に帰ってから見るよ」
望の顔を見て言った。
僕は荷物の片付けが終わると望のベッドに近づき望の顔を見て言った。
「ちゃんと勉強しろよ、学校終わったら見舞いに来るからしっかりやってろよ」
そう言って望のおでこにデコピンをした。
そして僕は望に別れを告げて部屋を出て退院した。僕は家に帰り手紙を開き中には
「ちゃんと歩けるようになったら一緒に歩いてください」
そう書いてあった。
そして僕は学校が終わるとそのまま病院に行くという生活をおくっていた。望は僕が来ると嬉しそうに笑っていた。
「今日の学校の授業の内容教えて?」
僕は普段授業は寝ているのだが望に教えるため真面目に勉強していた。
「覚えてないけど、多分このページからここまでだったような気がする」
そうやって適当に言うと
「ちゃんと勉強しなさい!」
「望は俺の親かよ、」
そして月日は少し進み望は奇跡的に退院出来るようになった。
それは春の終わりをつげ夏が訪れようとしていた
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