夕暮れの冒険者たち ~世界が終わるこの瞬間~
ほっきょくせい
第1話 夕暮れ
太陽が夕闇に今にものまれそうな時間のこと。
山並みが燃えている。
その上には巨大な竜が飛んでいて何匹もの竜が黒い炎を吐き散らしていた。
「またか…」
酒場の前で座り込んでいた男が酒瓶を片手にヨタヨタと立ちあがり腰をトントンと叩いている。
「クソみたいな酒だ。
この腐った奴らを助けたところで何が変わるんだ。」
男が何かを呟いた瞬間地面に魔法陣が現れ光り輝く。
「こんなものか」
次の瞬間男は炎の中にいて地面を軽くステップした瞬間黒竜の頭上で酒瓶を振りかぶっていた。
コン。
軽い音だ。巨大な黒竜は地面が裂けるほど突き刺さっていた。男は空でニヤリと笑い体を捻り頭を地面へ向けた。
巨大な竜は半透明な糸でつながれ宛ら空に向かい行くような凧。
首を糸で繋がれた竜たちは火を吐き糸をきろうとして暴れているが無駄の様だ。
「酒。クソが。代価はお前らで払え」
男はヨナヨナっと立ちあがる。
山の頭上に山を3つぐらいのみ込みそうな陣が現れ巨大な白い手がヌッと竜を包み込み、白い手に真っ赤な鮮血が溢れ山の地の底に拳が突き刺ささる。
巨大な大きな手はまばゆい光を放ち陣の中の遥か彼方へと消えてゆく。
男は何事もなかったかの様にヨタヨタと夕暮れの山道を下ってく。
それを見ていた老山人が拝みながらこう呟く。
「あっとだい。あっとだい。」
それは古の時代の魔法の言葉。
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