この世の真実、×××の×××とは?

「来ましたか。革命家」


 なぜ毎回こいつはやけにかっこいい言葉を使うのか...


「はいはい。で、こんにちは」


「おはようございます」


「......」


「すみません。私から始めるべきでしたね」


「早くに×××について教えてください。昨日中途半端だったので」


「まあまあ、そう急がず」


 男はニコニコと笑う。

 仮面からはみ出た口は、綺麗な三日月の形だった。


「では、まず...あなたは×××計画についてご存じですか?」


「×××計画?」


「はい。実は教会、魔王軍、勇者。これらが×××し、国民や冒険者、あとは人型異業種の×××を目的とする、×××によって考案された計画です」


「...?ごめんなさい。よくわかりませんでした」


「いいんですいいんです。この世の真理を知ろうとしているのですから。簡単な話ではありません」


「真理?」


「はい。それは即ち、この世界はトップのエリート層が私利私欲のため、人を欺いているということ」


「それと魔王軍に何の関係があるんですか?」


「そもそも、魔王軍や魔物がいつ現れたか知っていますか?」


「...200年前、空を埋め尽くす強大な光とともに、突如として出現した」


「はい。では、魔物が現れる前と後では、人類はどうやって変わりましたか?」


 歴史の教科書に載っていた。確か...



「人間同士の争いが大幅に減少した」



 それを聞いた仮面の男は、またニヤリと笑った。

 こいつずっと笑ってんな。


「その通り。戦争が減った!」


「......」


「逆にこう考えてみましょう。魔物は人間によって作られたもので、巨大な光はそれを解き放つ合図!」


「...そんなしょうもない説がこの世の真理?」


「まあ、それが普通の反応でしょう」


「じゃあ、僕は帰らせていただきます」


「考えてみてください。今言ったことが真実だとすれば?」


「真実なわけないでしょう。魔物によって、人類は苦しめられているんですよ」


「戦争が減ると言うことは、人類同士の競争が減り、支配が楽になる。そして、冒険者の職という、不変の価値基準を作り出した」


「......」


「分かってきましたね?そうです。魔物がいることによって、あなたのような恵まれない人間を作り出す。魔物の強度を調整すれば、社会的にハズレ職の人間を殺すことができる」


「...その場合、僕も消される側の人間なのか?」


「はい。しかし、あなたには希望がある!」


「...希望!?」


「レイピア使い。対人戦闘でやり合えるのは格闘家くらいでしょう。いずれ政府は支配を隠さなくなる。その時、魔物によって、レイピア使いのような人間は死んでいる。つまり、人間に立ち向かえる人がいなくなる!」


「はい...そうなりますね...」


「つまり!



×××が真実



ということで、全てのつじつまが通るんです!」

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