第4話【初対面】
遂にやって来たブイラブ事務所前。
遅刻しちゃダメだと一時間前にやってきたが、緊張してじっとしていられない。
少し冷静になってみると色々と不安な要素が出てきた。
星乃彼方の中の人物が俺でがっかりされないか、とにかく不安な要素が次々に出てくる。
「約束の時間まで後十分か……」
コーディネートは幼馴染の香澄にお願いしてもらったから大丈夫のはずだ。
「さっきから何人か事務所に出入りしているけど皆凄く美人だな……俺もそろそろ覚悟を決めなくちゃな」
俺は数回深呼吸をして歩き始めた。
ブイラブの事務所の中に入ると、一人の女性が話しかけてきた。
「申し訳ございません。関係者以外の立ち入りは禁止させてもらってます」
「あ、いえ。今日の七時にここに来るように言われてまして」
「七時……あ、もしかして星乃彼方様ですか?」
「は、はい……そうです」
香澄以外の他人に自分が彼方だと告げたのは初めてだからなんだか恥ずかしい。
「こちらにどうぞ」
「は、はい」
そう言って女性がとある部屋の前まで案内してくれた。
「こちらの部屋で二期生の方がお待ちしておりますので。それじゃあ失礼します」
「ありがとうございます……」
このドアの向こう側に二期生の方達が居るのか……
やばい、手が震える……。
「……何してんだ俺。ちゃんとしろ!」
小さく声に出して自分にカツを入れる。
そしてドアをノックした。
「はーい、どうぞ~」
するとアリスちゃんの声でそう聞こえてきた。
俺はドアノブに手をかけ、ゆっくりとドアを開けた。
「おー! 君が彼方くん? 結構イケメンなんだけど」
ドアを開けると直ぐに、明るい金色の髪をした女性がそう言ってきた。
声からして、彼女が猫鈴アリスちゃんだ。
VTuberのモデルに負けないくらいのスタイルで顔も凄く整っている。
VTuberではなく顔出しの配信をした方が人気が出るんじゃないかと思ってしまう。
「なんか思ってたよりイケメンでちょっとムカつくぅ」
「あんたどんな感情よそれ。あ、こっちは幽奈。どうしても来るって聞かないから」
燈火幽奈ちゃんは雫月さんとアリスさんと同じブイラブ所属の二期生で登録者七十万人と大人気VTuberだ。
綺麗な茶髪のセミロングヘアの幽奈ちゃんもまた、アリスちゃんと同じく容姿が凄く整っている。
「ん? どうしたの彼方くん。固まっちゃって。あはは、緊張してる?」
「そ、そりゃ緊張してますよ」
皆があまりにも美人過ぎて緊張が増すんだけど……。
「それで……雫月もそろそろ出てきたら?」
「そうだよ、いつまでそこで隠れてるの」
そう言ってアリスちゃんと幽奈ちゃんはカーテンの方へ視線を向けた。
カーテンの方をよく見ると誰かが隠れている。
しばらくするとひょっこりと顔だけを少しだして直ぐにひっこめた。
少し見えただけでも花音ちゃんが凄く可愛いと分かった。
「だ、だってぇ~! 恥ずかしくて無理!」
「もー! ほら早く」
「きゃぁ! 無理無理無理! まだ心の準備できてない!」
アリスちゃんと幽奈ちゃんは強引に雫月ちゃんの腕を掴んで引っ張った。
「ほら、彼方くんだよ」
俺の目の前に来た雫月ちゃんは綺麗な栗色の髪をしていて整った顔、スタイルも抜群で誰がどう見ても美少女だ。
VTuberとしての姿よりもこっちの方が人気が出るんじゃないかと思ってしまう。
まるで超人気アイドルが引退後にVTuberとしてデビューしたみたいだ。
「は、初めまして。星乃彼方です」
「は、初めまして……雨音雫月です……か、かっこいい無理ぃ……」
「もーこんな調子で二人でオフコラボなんてできるの?」
「が、頑張る……」
「もう時間も無いんだから早くお二人で配信部屋行ってきな~」
そう言って幽奈ちゃんは俺と雫月ちゃんの背中を押してきた。
「ちょっと幽奈!」
「えーっと、行きますか?」
そう言って雫月さんの顔を見ると雫月さんは直ぐに顔を手で覆い「もうちょっと待って本当に恥ずかしい」と言った。
そんな風に思われるレベルじゃないんだけどな……。
でも普段の雫月さんとは全然違う反応で凄く可愛いから良いか。
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