異世界転生したけど、パーティメンバーが俺以外皆恋人で日々気まずいです〜俺のヒロインはどこですか!?〜

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第1話:異世界転生したけどパーティメンバーが俺以外皆恋人です

「大丈夫だよー。ほら、怖いドラゴン達はお兄さんの仲間達がやっつけてくれるからねー」


 目の前で魔物に襲われ、怯えきっている幼子を宥める。


 後ろからは二組の仲間が息のあったコンビネーションで戦っている音がする。


「ゼェエエエエエイッ!!……ユミス!次ィ!」

「〚縛縄弓ばくじょうきゅう〛!……っ!アル!そっちもう一匹行ったわ!!」


 縄で縛られたドラゴンの首がドスンと落ちる。

 

「任せて!【こおこおこごえて止まれ】!」

「固まったな!そうらっ!【爆ぜろ爆ぜろ中から爆ぜろ】!」


 全身が凍ったドラゴンが中から爆破し、欠片も残らなくなる。

 

 そんな背後で仲間達が戦っている音を聞きつつ、戦闘中には役立たないチートスキルしか使えない俺が何をしてるのかというと。



「大丈夫大丈夫ー怖くないよー。ほら、雑魚のお兄さんが一緒に居ても無事でしょ?だから君もだーいじょうぶー」


 そう、戦いでもぼっちな雑魚な俺は近くにいる人を庇って宥める係なのです。


 今回はこの小さい女の子が巻き込まれているので、ひたすら怖くないよと宥めている。


「ざ、ざこのお兄さんは……あんなの達といて……へ、平気なの……?」


 全身震えている彼女の目には、ドラゴン達と余裕そうに戦っている仲間達が映っている。

 ……あぁ、こんな子供にすら偏見が生まれちゃうんだなぁこの異世界は。


 唯一彼女に怖がられていない俺が、手をバッと広げてアピールする。

 

「あんなのじゃないよ?みーんな、俺の大事な仲間だからさ?ほらもう怖い魔物たちをやっつけ終わるからねー」



「「〚究極完全破壊閃〛!!」」


「「【【熱よ熱よ】】

  【零まで】【果てまで】

  【【消え去れ】】!!」」

 

 後ろから仲間達が厨二っぽい必殺技を叫ぶ声が聞こえる。

 戦いも終結する頃合いだろう。


 震える子供を庇うように振り向くと、首が切られ、積み重ねられたドラゴンの死体と、

 焦げ跡すら残っていない綺麗な焼け野原の跡地があった。


「もう!魔法カップル!素材売れなくなるからその技はあんまり使っちゃ駄目って言ってるでしょ!物理カップルも血抜きはいいけど子供怖がるでしょ!戦ってくれてありがと!!」


 文句とお礼を同時に言うとケモンとシテノスから「ウイ」だの「はいよ」だの適当な返事が帰ってきた。

 全く、ちゃんと聞いてるのかな。


「じゃあこの子、村まで送るけど誰か来る?…………いつも通り来ないのね。じゃあ、行ってくるよ」


 行ってらっしゃーい、とアルとユミスが機嫌良さそうに手を振りながら見送ってくれた。

 そうだよね。今の内にそれぞれいちゃつけるもんね。


 ……う、羨ましくなんて、あるんだからねっ!

 嫉妬で悶えるように俺の身体を抱きかかえる。


「ざこお兄さん……?」


 おっといけない。今はこの子を送らないと。

 不審な目をしているのを無視して、手を繋いで森の中を歩いていく。


「なんでもないよー。……村に行くまで暇だしお喋りしよっか。何か聞きたいことある?」


「え?えっとえっと……ざこお兄さんはなんで、その、ああいう仲間と冒険してるの?人間だけじゃ駄目なの?」


「うーん、さっきも言ったけど別に普通の仲間だよ?……って言っても名前も知らないんじゃ怖い誰かのままだよね」


 恐怖も差別も無知から来るものだしね。うん。

 

「獣人で剣使いのケモン。ハーフエルフで弓使いのユミス。白髪で魔法使いのアル。悪魔で呪言使いのシテノス。……そして、人間で補助魔法しか使えない平和ひらわ たすくこと俺。俺以外も皆話してみると普通だよ?」


片手で指を折りながら、5人を紹介する。

 

「確かに……この中だとざこお兄さんが一番変かも。補助魔法しか使えないなんて」

「……ちなみに、名前言ったからその『ざこお兄さん』っての辞めない?」

「やだ」

「そっかー……」


 そんなどうでもいい話をしつつ村へと向かう。

 ……ちなみに、ケモンとユミス。アルとシテノス。

 それぞれは恋人である。


 そうです。俺だけパーティー内でボッチです。


 …………どうしてこうなった!

 

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