念のため石橋を叩いておくが、できればなるべく迂回したい
@study-v
第一話
1-1 ぷるんとした未知数
スライ厶という存在は、分類の段階でつまずきやすい。
つまり“見た目が似ているだけで、実態は
◇
その日、仕事を終えてアパートに帰り、玄関の扉を開けたら、青くて丸い“何か”がぷるぷるしていた。
「…………」
声が出なかったのは、驚きというより“情報処理が追いつかなかった”からだ。
半透明。直径約20センチ。弾力のある表面。温度不明。
玄関の電気をつけると、光を受けて透き通るようなツヤが浮かび上がる。
(……これは……未知だな……)
脳が高速で状況を整理し始める。
周辺への影響は――ゼロ。床は溶けていない。家具も無傷。匂いも異常なし。
(危険性……現時点で判断不可……)
結論が出せなかった。理屈では見当がつかない。頭より身体のほうが一足先に反応した。
俺はそっと玄関の扉を閉めた。
(……これは……今じゃないな)
判断を避けた、というより、“判断できる状態まで自分を持っていけない”というのが近い。
視界の端からぷるぷるの像が消えた瞬間、空腹を思い出した。
(……とりあえず、外行ってくるか)
俺はアパートの外へ出た。
部屋には未知の物体を残したまま。
その事実に対しての不安よりも、「腹が減っている状態で未知の物体を観察しても
自分でも「それはどうなんだ」と思わないわけではないが、考えたところで行動は変わらなかった。
(まずは……買い物だな……)
そうして俺は、静かな夜のスーパーへ向かった。
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