アサシンの俺、戦士、魔法使い、ヒーラー全部できる

ハカドルサボル

第1話 ダンジョン攻略予備校の新入生

 世界中に迷宮が出現してから数年。日本は迷宮探索のスペシャリストを養成する予備校を作った。ダンジョン攻略予備校。戦士、魔法使い、ヒーラー、アサシンの四人組でダンジョンを攻略する学生を募集した。

 15歳。春。アシュラはアサシンとしてダンジョン攻略予備校の門を叩く。幼なじみのエリーが横で緊張の色を見せている。

「緊張する……」

 普段、天真爛漫な彼女だが緊張で体の動きがぎこちない。アシュラはペットボトルの水を渡して、エリーが一口飲む。

「ありがとう。アシュラ」

 エリーは同じ15歳の幼なじみで戦士を目指している。両親のいないアシュラをエリーの両親が引き取り、10歳から一緒に共同生活を送っている。

「これから冒険者としての修行を頑張ろうね!」

 活発な彼女から応援を受け取る。だが、エリーは知らない。実はアシュラは戦士、魔法使い、ヒーラー、そして、アサシンとすべてのクラスでトップレベルなことを。

「ああ、頑張ろう」

 筆記と実技で入ったダンジョン攻略予備校は、アシュラは手を抜いて入った。5年間一緒にいた、いくら恩人のエリーだからと言って、真実を話すわけにはいかない。

 アシュラは世界中に迷宮があらわれた時の一期生として、わずか7歳でダンジョン攻略の最前線にいたことを……。

(3年後、迷宮の単独党派を目指す)

 とアシュラは意気込む。

 門を開く。

 ダンジョン攻略の予備校――通称D予備校――はアシュラとエリーを温かく迎える。ベルサイユ宮殿のような立派な建物が姿を現す。庭では、総勢40人に及ぶ15歳の新入生がたくさん並んでいた。アシュラとエリーも適当な列に並ぶ。そして、時間が来ると、D予備校の校長が姿を現した。

「静粛に」

「長い話が始まるのか?」

 アシュラは小声でエリーに声をかける。筆記がダメダメで、実技試験のみでクリアしたエリーは戦士志望。このまま長い話が聞けるはずがない。そう決めつけていると校長の話はあっさり終わった。

「私はアサシンで偵察が得意じゃ。そして耳が良い。新入生40人全員の鼓動が聞こえるくらいにはのう」

 会場でどよめきが起きる。きっとアシュラみたいに小声で呟いた生徒が何人かいるはず。見透かされていた。

「では、さっそく。クラス替えをする」

 新入生は40人。1クラス四人となるので、10クラスに別れる。

 校長の前に、クラス替え帽子が置かれ、それぞれの生徒がかぶっていく。

「これは迷宮から出土した古代文明の遺産じゃ。喋る帽子。適性を判断して相性の合う新入生とクラスを同じにしてくれる」

 なお、戦士10人、魔法使い10人、ヒーラー10人、アサシン10人いるので、入学前からあらかじめ決められている。それでも最後に判断するのは喋る帽子だった。

 アシュラとエリー。順番的にアシュラが一番最初に帽子をかぶる。

(エリーと同じが良い。エリーと同じが良い。エリーと同じが良い)

 呟く。すると喋る帽子が反応する。

「こいつは適正Sランクじゃねえか。どこでも行けるぜ。どうしたい?」

 周りは、校長以外、喋る帽子の呟きが聞こえていない。なのでアシュラは無理難題を言った。

「戦士はエリー。魔法使いとヒーラーは一番強い奴を頼む」

「合点招致」

 そして、全員の審査が終わった。

 喋る帽子が宣告する。

「一番クラス。戦士はエリー。魔法使いはレン。ヒーラーはクロウ。アサシンはアシュラ! これで決まりだ!」

「やった」

「良かったね。アシュラ」

 幼なじみのエリーとハイタッチする。クラス替えはその場で行われ、新入生で一番強い魔法使いのレンとヒーラーのクロウと出会う。

 レンは小柄な15歳で胸はつるぺた。ゴシックロリータの黒を基調に、お人形さんみたいな女性。クロウは背の低い男性。美少年と言える中性的な顔立ちに見える。仮面をかぶっていた。アシュラが二人に近づく。

「俺はアシュラ。アサシン。よろしく」

「私はレン。魔法使いよ」

「僕はクロウ。ヒーラーだよ」

 これがのちに伝説となる、1番クラスの結成の瞬間だった。

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