冒険者の少女は、心を探す旅をする

@nekoka_1

1話 兆し

私は持っているクワを振り下ろして、畑を耕す。

跳ねた泥が体にかかるが、気にせずクワを振り下ろす。


「そろそろ終わりでいいよ、ありがとね〜冒険者さん」


畑のおばさんから声がかかり、畑から出る。


「こんな時間まで良かったのかい?」


「それが依頼なので、それでは失礼します」


「ちょっと待ちな」


おばさんが袋いっぱいの芋をくれた。


「今回のお礼だよ、持っていきな」


「依頼の報酬はもうギルドに渡してあるはず」


「いいんだよ、受け取っておきな」


私は少しだけおじぎをして、芋を持ってその場を後にする。

袋いっぱいの芋を落とさないように抱えて町の冒険者ギルドに戻った。

受付の人に依頼を完了したことを報告して報酬を受け取り、依頼が貼ってあるギルドの掲示板を見て、次の依頼をどうしようかと考える。


「あの…アカリさん」


私の名前を呼ぶ声が聞こえて、振り向くとさっき受付してくれた人が立っていた。


「その、少しご相談がございまして…」

「なんですか?」

「今朝、洞窟のゴブリン討伐に行ったパーティーが帰ってきてなくて…もしかしたら何かあったのかもしれません」

「見に行けばいいの?」

「危険なお願いをしているのは、十分承知しています、それでもお願いできないでしょうか?」

「……分かった」


私はすぐギルドを出て、洞窟に向かった。


この世界には【ステラ】という石がある。

【ステラ】は使う人によって、武器に形を変えたり、特殊な力を放ったりする不思議な石。


洞窟の入口に着く。

私は持ってきていたランプに火をつけようとしたとき、中から叫び声を上げながら1人の男が出てきた。

その男の腕を掴み、『どうしたの?』と聞く。


「なんでこんなところに人が…とにかく逃げろ!」


私の肩を強く掴まれた。


「この中にキングゴブリンがいるんだ!しかも2体!もう何人もやられちまった…」

「そう、私は中に入る」

「なんでだよ!死ぬぞ!」

「私は様子を見に来た、その目的を完遂するまでは帰らない」


私は洞窟の中に入っていく。

後ろでは『どうなっても知らねえからな!』と聞こえるが無視した。

奥に入っていくと、確かに何人かの死体が転がっていて、死体の腐敗臭と血の匂いが充満していた。

死体をよく見てみると、全てが一太刀で斬られたような跡がある。


さらに奥に進むと、刃がぶつかり合う音が聞こえてきて、身を隠し様子を見る。

壁際に倒れている人が複数、その前に守るように立つ女性が1人、それに対して女性の二回りも大きいキングゴブリンが2体。


女性1人できついだろう。よくここまでもちこたえている。


見る限りその女性は限界だった。

私は隠れた場所から出て、キングゴブリン達に近づく。

女性は私に気づき、『逃げて』と叫ぶ。

けど、もう遅い。

キングゴブリン達の1体が私に気づき、大剣を振りかざした。


ガキンッ!


刃が重くぶつかり合う音が洞窟内に響き渡っていく。

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