第10話 これで田中さんは、私のものです、拘束します・・・でも・・・誰?この美女!①

「一緒にいたい」

これは、告白です。(軽くない)(田中さんには、一目惚れです)

ずっと二か月も探して、ようやく見つけて、今日捕獲して。

一緒にいて、全く違和感がありません。


田中さんは、実は本当にマトモで、一緒にいて落ち着く人です。

(離したくないので、出来る限り拘束します)

(田中さんは、カチンコチンですが、それも、いい感じ)

(女性に口下手?そんなのは気にしません)

(ペラペラ口説かれるほうが気持ちが悪い、蹴飛ばします)


「ご縁の多大なご協力」もあったかなと、思います。

「横浜元町Kバッグ店の同じシステム手帳」、「受講する講義が同じ」、「自宅最寄りの駅は同じ京王線調布駅」と来て、次は田中さんのアパートに押しかけるだけです。

(早く、もっと寄り添いたい、肌を感じたい、モヤモヤして来たな・・・ヤバイかも)


「偶然のコジツケを利用しているだけ?」そんな批判は却下します。


一目惚れだったけど、今日はずっと近くにいて、落ち着く人です。

(田中さんは、カチコチだけど)(マッサージしようかな)

拘束してマッサージ?それも面白いかも。

(独占して拘束して、誰の目にも触れさせたくない、そう思っています)


田中さんが、ようやく私を見ました。

(まあ、きれいな瞳ですこと)

(でも・・・刺激強い・・・胸が痛い、揺れたかも)

「練習する曲は、決まっています?」


「あ!はい!」

(フラチなことを考えていた私は、声が裏返った)


「普通の聖歌を、五曲程度」

(実は楽譜を持っていたので、鞄から出して見せました)

(田中さんは、じっと見て、頷きました)

「わかりました」(キリッとした顔だ、マジに安心する)


「ありがとうございます」(何か、ホンノリする、安心感たっぷり)


で・・・いい感じで、握手をしようとした時だった。


「あれ?田中君?」

きれいなソプラノが耳に入った。

発信元を見て、ビビった。


「何?この人?AI美女?」

(とにかく、文句がつけられない美女、少し年上に見える)

紺のジャケット、赤いセーター。

(胸もしっかり、ふくらんでいる、Eかな)。

キュッと締まったパンツだ。

(私は、マジに焦った、こんな美女が田中さんの、お知り合い?)

(捕獲して、拘束した途端に・・・取られちゃうのかな)


ところが、田中さんは、AI美女に、「実に」反応が薄い。

「えっと・・・何?」と、超クールな「塩」対応。


AI美女の顏に、「朱」が入った。

「ねえ、この子、田中君の彼女?」

(言葉にトゲ、嫌な女だ)

(できれば彼女って言って欲しい)


「何の用?」

(田中さん、AI美女に実に嫌そうな顏だ)

(少し安心したけど・・・そもそも、どういう関係なの?)


田中さんでは「ラチがあかない」と思ったのか,AI美女が私の前に来た。

「私、佐藤由紀」

「田中君とは、同じ横浜の小・中・高の同級生、ピアノ教室も同じ」

「ついでに大学まで同じの、幼なじみ」

(だから何?とにかく田中さんは、あなたを嫌がっている、目も合わせないでしょ?)


※これで田中さんは、私のものです、拘束します・・・でも・・・誰?この美女!②に続く。

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