第8話 押しの一手だ! でも、邪魔な奴らが・・・

鈴木裕美です。

捕獲したからには、逃しません。

(押しの一手です)(押し倒したい?・・・うん)

横浜元町Kバッグ店のシステム手帳を見た時は、鳥肌が立ちました。

「同じ感性?使い込んでいる」

(私も、使い込まれたい?・・・はい)


連絡先は、強引にゲットしました。(今晩押しかけるかも)

一時的な「代役ピアニスト」なんて、嘘ですから。

こんな美味しくてウブな田中さんです。

決して、他の女のエサには、させません。

私が、ずっと食べたいですし。(思っていて、赤面する)


ビストロを出て、逃げようとするから、泣きそうになりました。

(用件だけの女なの?)(いやだ、そんなの)


「迷惑ですか?」(声が震えたかも)


「慣れていないので」

(それはよくわかる、でも、私は、あなたが欲しい)


「よかった、嫌われたかと」

(「こら!」と思って、ぴったり張り付きました)

「三時までお話しできますよね」

(強気です、住んでいる場所も聞き出すぞ)


田中さん、固まって、顏が赤くなった。

(いいなあ、こういうウブな人)


さて、どこに「監禁しようか」と考えている時だった。

危険で、すごく嫌な視線を感じた。

もちろん、あの淫乱肉食三人女だ。


豊胸系(少し垂れているが)恭子の下品極まりない声が飛んで来た。

「あーーー?裕美?」(うるさい、どこかに消えろ!)


(中学生から成長がない)奈美は、ムッとした顔だ。

「いつの間に?抜け駆け?ありえない!」

(あんたみたいなノロマじゃないよ、これが実力差)


豊満系(農家のどっしりオバサン系)佐保も、(やはり、恥ずかしいくらいに)口が悪い。

「裕美!何で勝手に手を出しているの?」

(だから、お坊ちゃま杉田君が恐れるの)

(その目つきも、怖いなあ)


それで、ナイーブな田中さんは、固まっている。

(そうだよね、こんな下品な女三人を目の前にすれば)

「あの・・・もう、いいですか?」

(逃げ出す気満々だ)(邪魔な三人女を掃除機で吸い取りたい、消去したい)


でも、私は、こんな下品な奴らには、負けることはない。

(田中さんも、もちろん、解放しない)


胸を張った。(Dカップ万歳!)

「田中さんに、クリスマスコンサートに出てもらえることになった」

(ほら!この私に感謝しなさい!)

(今までの非礼を反省して、お前らは、ひれ伏すべきでは?)


・・・しかし、下品な三人女は、ますます非礼な行動に出た。


恭子は、いきなり手を差し出した。

「うわーーー!マジです?」(ほら、田中さんの腰が引けている)


奈美は「うれしいなあ」と、舌なめずり。

(田中さんは、意味不明らしい)

(だって、体型がロリ過ぎる、色気なし)


佐保は、(強引で意地悪な性格を無理やりに隠して)お嬢様風な笑顔だ。

「あら、お噂はかねがね、光栄です」

(ふん、すぐに馬脚をあらわすさ)


(かなりビビっていた)田中さんが、口を開いた。(シャンとした感じだ)

「練習を楽しみにしています」

「出来る限り、お役に立ちたいと思います」

(口調も、キリッとさわやか)

(音楽を意識すると、背筋も伸びるらしい)


私は、淫乱肉食三人女の「おっ!」と(田中さんに見とれた)一瞬の「スキ」を逃さなかった。

「次の授業に行くの」と、田中さんの袖を引いて、歩き出した。

(田中さんは、驚いた顔、でもすぐにホッとした顔になった)

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