第5話 愛は宇宙の方程式
第四章 宇宙と愛の方程式
冬の夜はさらに深まり、二人は再びカフェに戻った。窓の外には星空が広がり、街の灯りがその下で瞬いている。和光はコーヒーを口にしながら、凛の言葉を待っていた。彼女の語りは、いつも宇宙の奥底から響いてくるようだった。
「宇宙論って、結局は方程式なんです。エネルギー、情報、意識――全部が数式で繋がっている。でもね、恋も同じなんですよ。二人の心が交わるとき、それは宇宙の法則と同じ構造を持っている」
凛は紙ナプキンにペンを走らせ、簡単な図を描いた。
「ここに『時間』、ここに『空間』、そしてここに『意識』。三つが交わる点に『愛』がある。愛は宇宙の方程式の解なんです」
和光はその図を見つめながら、胸の奥に熱を感じた。
「愛が宇宙の解……。それは、終わりのない問いに対する答えのようだ」
愛と宇宙の重なり
二人はさらに言葉を重ねた。
「運命」「永遠」「混沌」「試練」――すべて「ん」で終わる言葉が、宇宙の法則を象徴していた。
「『運命』は、宇宙が人に与える軌道」
「『永遠』は、時間の終わりと始まりが重なる点」
「『混沌』は、秩序が生まれる前の可能性」
「『試練』は、愛が宇宙と響き合うための問い」
凛の言葉は、まるで数式を詩に変えるようだった。和光はその響きに心を委ね、彼女の存在そのものが宇宙の方程式を体現していると感じた。
方程式の告白
「和光さん、あなたと話していると、宇宙が少しずつ解けていく気がします」
凛はそう言って、静かに彼を見つめた。
和光は胸の奥から言葉を絞り出した。
「僕も同じです。あなたといると、過去の記憶も未来の不安も、すべてが一つに溶けていく。まるで宇宙の方程式が愛によって解かれていくように」
その瞬間、二人の間に沈黙が訪れた。だがその沈黙は、言葉以上に雄弁だった。宇宙の果てから響く「ん」という音が、二人の心を結びつけていた。
第四章の結び
夜空の星々は、まるで方程式の解を示す記号のように輝いていた。
和光は悟った。愛は宇宙の法則の一部であり、終わりと始まりを繋ぐ唯一の答えなのだ。
「永遠……」
彼の呟きに、凛は微笑みを返した。
その瞬間、二人の恋は宇宙と重なり、方程式の解として永遠に刻まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます