第三十九章 義父の死

 義父が正月の終わりに倒れた年の十月の事である。


 とうとうお義父さんは亡くなってしまった。


 お義父さんはその年の十月十七日夜八時五十五分、肺気胸による呼吸不全で亡くなった……。享年八十六歳だった。


 病室に集まり、最期を看取った人達は皆泣いていた。娘を除いては……。


 しかし、娘が泣かなかったのは決して薄情だったからではない。娘は亡くなったという事実を受け入れられず、悲しすぎて泣くことすらできなかったのである。


 お義父さんの遺体の前にぼんやり佇み、無表情に一言も話せなくなってしまった娘がとても不憫でならない……。


 一方、外孫の姪が私の娘とは対照的にオーバーリアクションで派手に泣きじゃくっていたのは、いかにもわざとらしく、嫌味なものに覚えた。




 お悲しみは人それぞれ自分のペースでやりたいところだが、無情にも、喪主にあたる義母に葬儀屋が手をこまねいているのはこの世ではよくありがちな事だ……。

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