隠居生活のためのギルド設立〜気付いたら悪の帝王にされてたんだが〜
歩く魚
ギルド「死合わせの森」に関する初期調査報告
【ギルド中央本部・特別調査課】
報告書 01783
提出者:下級調査員 レベッカ・ハルバード
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件名:ギルド「死合わせの森」に関する初期調査報告
本日、王都より依頼ありしギルドの調査を実施しました。
本ギルドは表向き「村の経済活性化を目的とした小規模ギルド」とされていますが、いくつかの点で奇妙な、あるいは危険と判断され得る挙動が確認されました。
以下に観察結果を記します。
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1. ギルドマスターについて
ギルドマスターを名乗る男はデス・カイザー。
事前に送付した質問票にて、本人は「静かに畑を耕して暮らしたい」と繰り返し主張。
しかし、これに反して――
・死の奴隷商人を傘下に加える
・魔王軍幹部の引き抜き
・呪竜ヴィシャンテの討伐、呪いの力の奪取
・勇者殺害未遂
・国家転覆
明るみに出ているだけでも、これだけの悪行の報告があがっている。
デス本人の冒険者ランクはC(自己申告)だが、ときおり背後から見えない圧を感じる(私見だが、あれは一般人のそれではない)ため、実力を隠している可能性が高い。
なお、デスがギルドを設立する前の行動記録は一切見つからず。
2. メンバー構成について
ギルドマスターは「善良で働き者の仲間を募集中」との張り紙を出していた。
しかし――
・死の奴隷商人
・元魔王軍幹部・暗黒騎士クレイド
・呪いの姉妹(詳細不明・危険度S相当の噂あり)
その他、まともな経歴の者は一名も確認できず。
3. ギルドとしての活動方針
ギルドマスターは「平穏な隠居生活のために、少しでもお金を貯めたい」と回答しており、ギルドを設立してから受注している依頼は低ランクのものがほとんど。
これだけなら危険性は見当たらないが、前述の通り、依頼外で多数の国家級の事態に関わっていると思われる。
4. 最終所感
現時点で、このギルドを「悪」と断定する根拠は薄い。
が、世界に仇をなすのも時間の問題であることは確かと考える。
ギルドマスター本人は善良を謳っているが、本心をどこまで語っているかは判別不能。
隠居生活という言葉を妙に強調する点が気になる。
5. 追記
本報告書を提出後、私はギルドへの実地調査に向かう予定です。
もし私が帰還しなかった場合――この報告書を後任に託します。
その時はどうか、「死合わせの森」を止めるべく調査を続行してください。
私の失敗が、誰かの成功につながることを祈ります。
レベッカ・ハルバード
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不定期更新です。
私の作品は全てそうですが、勢いで読んでください。
伸びた場合は二章以降も書きますので、少しでも面白いと思ってくださった方はブクマ、評価等お願いいたします。
どれも感謝ですが、評価、ブクマ、いいねの順で嬉しいです。
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