第6話


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じっと目を見つめて話を聞いてくれるのが

ものすごく嬉しくて、

どうにかなってしまいそうだった。


忘年会シーズン。

街はイルミネーションできらきらと輝いて賑やかな夜だった。


会社にいるときはいつもスーツだったから

はじめて見る私服姿にドキッとした。

こんなことでいちいち意識していたら、心臓がもたない。


ひとしきり話した。

はじめて一緒に飲んだお酒は、あまりに美味しく感じた。


大して強くないのに、美味しいと感じたのはきっと

昨日夜遅くまで働きすぎたせい。


「最近はどうですか。嫌な思いしてないですか。」


「間宮さんが出向されてから、

課長も急に異動して、もうみんなてんやわんやです。」


「なんか責任感じますね、僕のせいじゃないはずですけど。」


間宮さんは

私の2つ上の歳なのに今でさえ敬語を全く崩さない。


その距離感がどうももどかしくて、

これがわざとならなんて計算高いんだろう。

なんて、隙あらばあるはずない妄想をしてしまう。



「出向自体は別によかったんですけど

心残りだったんですよ、花木さんを置いていくのは」


「、え?」


「ほら、なんかいつも遅くまで残ってるし。

 教育担当は機能してないし。」


「あはは、間宮さんよく見てくださってましたよね。」


「新卒をことごとく使い物にならなくする部署なので。花木さんだから成り立ってるけど、酷い体制ですよ、本当。」


ああ、なんかもしかして褒められてるのかな。

なんて思ったら嬉しくて嬉しくて、

気がついたら次から次へとグラスが空いていった。




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