第11話

学校に着くと、明楽は王子様モードをオンにして「明楽君、おはよう!」声をかけられるのに対して、笑顔で「おはよう」と返す。そんな様子を見て薫子は「根っからの王子様気質」と呟くのであった。

二人が教室へやって来ると何やら教室が騒がしかった。明楽が近くにいたクラスメイトに「何かあったの?」と声をかけた。


「あ!明楽君、おはよう!なんか、今日転入生が来るらしいよ!」

「入学式を終えたばっかりのこの時期に?珍しいね。」

「そうなんだよ。しかもなんか、あの小鳥遊先輩の親戚らしいよ!」


明楽は思わず「え?」と困惑の声を漏らす。


「それに帰国子女なんだって!皆性別までは分からないから男子も女子も浮き足立っちゃってるんだよね。」

「そ、そうなんだ。...楽しみだね。」


明楽がそう言うと、薫子が「大丈夫ですか?」と声をかけてくる。


「あぁ、薫子。大丈夫だよ?何心配してるのさ。」


明楽は「フフッ」と笑いながら薫子に応える。


「でも、小鳥遊先輩の親戚で帰国子女ですよ?...席だってこのままいけば唯一空いている明楽の後ろだけ...」

「別にいいんじゃない?私も楽しみだよ。」


明楽はそう言うと自分の席へと着いた。そしてチャイムがなり、教師が「お前らー、席着けー」と言いながら入ってきた。


「えー、お前らも知っての通り、今日からこのクラスに転入生が来る。...入ってこーい。」


教師が廊下へ呼びかけると、一人の体格の良い男が入ってきた。皆がポカーンとしていると、教師が転入生に「自己紹介」をと声をかけた。


「小鳥遊 勇真ッス。ヨロシク。」

「えぇー、皆仲良くするように。席は窓際の一番後ろな。花ヶ崎ー、色々面倒見てやれよー。」

「ハイ。」


教師が明楽を名指しすると、勇真は「花ヶ崎...」と呟き、次の瞬間、顔をパァッと輝かせ明楽の元へそそくさと行き、明楽の席の前にやって来ると「お前が"明楽"か?!」と話しかけてきた。


「う、うんそう。花ヶ崎 明楽。よろしく...?!」


明楽が自己紹介をすると、勇真は両手で明楽の手を握りしめた。


「雅臣から話しを聞いてる!prettyなprincessがいるって!アイツの言う通りだ!明楽!オレのprincessになってくれ!」


勇真はそう言うと明楽の手に口づけを落とした。

クラス中がその行動に驚きを隠せずに目を丸くした。

明楽は何が起きたのか分からず、顔を真っ赤にしながらフリーズしてしまった。

薫子は「これは嵐の予感ですね...」と遠い目をするのであった。

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