第2話 叔母が叔母を連れてきた

 宣言されていた日よりかなり経って叔母から返済があった。


 が、そこでは終わらない。


 しばらくして叔母が違う叔母を連れてきた。また勝手に部屋に入って。


 そして、言われた。


「お金貸してやってぇ」


 猫なで声と作り笑顔三度アゲイン。


 こちらは母の一番下の妹。この人もいつも母に無心してはなかなか返さず、私はよく八つ当たりされていた。


 やっと返ってきたと思っていたら、この展開。泣きたかった。


 断ればよかったんだろうけど、この時の私は思ってしまった。


 こっちの叔母にかして、こっちの叔母に貸さないのは不公平なんじゃないか。


 健気なのか、馬鹿なのか。


 そしてまた、なかなか返ってこなかった。


 しかも味をしめた叔母たちは、その後もやってくるのだった。ここから私と叔母の借金の歴史が始まった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る