🤩カクヨムコンテスト11(現代アクション)応募中「新編 佐渡ヶ島のエレーナ少佐」2026年春に起こる日露北朝鮮中国のリアルな近未来戦記
『近未来』シリーズ 目次 & おまけ『第8話 アレクサンドラの空戦』
🤩カクヨムコンテスト11(現代アクション)応募中「新編 佐渡ヶ島のエレーナ少佐」2026年春に起こる日露北朝鮮中国のリアルな近未来戦記
✿モンテ✣クリスト✿
『近未来』シリーズ 目次 & おまけ『第8話 アレクサンドラの空戦』
🔵新編 佐渡ヶ島のエレーナ少佐 (近未来戦記①)
https://kakuyomu.jp/works/822139840933832127
☆第1章 ロシア軍侵攻
第1話(1) ロシア連邦軍、東部軍管区司令室
第1話(2) ロシア連邦軍、東部軍管区司令室
第2話(1) 女性兵士は自由恋愛?
第2話(2) 女性兵士は自由恋愛?
第3話 サドガシマへ出撃
第4話 グライダーに搭乗
第5話 落下傘降下
第6話 両津中学校、職員室1
第7話 両津中学校、職員室2
第8話 エレーナの講義 ◀️ 今ここ
第9話 両津中学校校庭のテント収容所1
第10話 両津中学校校庭のテント収容所2
第11話 佐渡ヶ島、両津港からのテレビ中継1
第12話 佐渡ヶ島、両津港からのテレビ中継2
第13話 少佐の策謀、そして同時朝鮮台湾有事1
第14話 少佐の策謀、そして同時朝鮮台湾有事2
第15話 エレーナたちが日本と停戦1
第16話 エレーナたちが日本と停戦2
☆第2章 ロシア軍停戦、北朝鮮のミサイル攻撃
第1話 レールガン、佐渡分屯基地1
第2話 レールガン、佐渡分屯基地2
第3話 レールガン、レーダーサイト1
第4話 レールガン、レーダーサイト2
第5話 迎撃準備
第6話 マスコミの取材、両津中学1
第7話 マスコミの取材、両津中学2
第8話 マスコミの取材、両津中学3
第9話 四極会談
第10話 佐渡分屯基地取材
第11話 ガメラレーダーサイト取材
第12話 最後の晩餐?1
第13話 最後の晩餐?2
第14話 北、第一撃弾道弾
第15話 レーダー管制室、取材クルー
第16話 北、第二撃、第三撃弾道弾
第17話 北、超音速滑空体(HGV)
第18話 羽生とアニー、レールガン車輌
第19話 北、第三撃弾道弾防衛、ロシアの応援
第20話 第三撃迎撃後、翌日の午後
第21話 アニーと卜井たちの部屋
☆第3章 北朝鮮人民軍、佐渡上陸
第1話 北朝鮮軍の襲来
第2話 エレーナの部隊、佐渡二見町
第3話 戦闘、佐渡二見町1
第4話 戦闘、佐渡二見町2
第5話 私が撃つのよ! 1
第6話 私が撃つのよ! 2
第7話(1) 佐渡市立両津病院、島民避難民の取材
第7話(2) 佐渡市立両津病院、島民避難民の取材
第8話(1) 戦闘終結、降伏勧告
第8話(2) 戦闘終結、降伏勧告
☆第4章 サドガシマ戦役終了
第1話 戦後処理1、早紀江とミノル
第2話 戦後処理2、早紀江とミノル
第3話 戦後処理3、早紀江とミノル
第4話 ジトコ大将とエレーナ
🔵石垣島のソーニャ准尉 (近未来戦記②)、https://bit.ly/4ej3BEg 完結済み
☆第1章 佐世保へ
第1話 佐世保入港
第2話 尖閣諸島の占拠は投資コストに見合わないです!
第3話 ソーニャと広瀬の初デート1
第4話 ソーニャと広瀬の初デート2
☆第2章 オキナワへ
第5話 事務職の女性は実は二等空佐だった
第6話 那覇市内でまたバカップルがデート
☆第3章 イシガキへ
第7話 那覇出港、石垣島へ、燃料気化爆弾
第8話 石垣島、離島フェリーターミナル1
第9話 石垣島、離島フェリーターミナル2
第10話 石垣島、暴力バー店内
第11話 左翼活動家、市議会議員の密談
第12話 露見、ガサ入れ1
第13話 露見、ガサ入れ2
第14話 平和国家日本の変化(お花畑の終焉)
第15話 佐渡ヶ島、自衛隊駐屯基地
第16話 佐渡空港、C-2輸送機
第17話 ハバロフスクと舟山基地の通信1
第18話 ハバロフスクと舟山基地の通信2
第19話 紺野二佐の戦略
第20話 エレーナ、イシガキへ
第21話 再び富田のアジトの一軒家1、石垣島侵攻開始5日前朝
第22話 再び富田のアジトの一軒家2、石垣島侵攻開始5日前朝
第23話 パイクミサイル
第24話 楊少校の居室、解放軍海軍旗艦龍虎山艦上、石垣島侵攻開始5日前
🔴与那国島の紺野二佐 (近未来戦記③)
☆第4章 ヨナクニへ
第1話 陸上自衛隊与那国駐屯地
第2話 与那国島Ⅰ
第3話 与那国島Ⅱ
第4話 中華民国蔡英文前総統Ⅰ
第5話 中華民国蔡英文前総統Ⅱ
第6話 中華民国蔡英文前総統Ⅲ
第7話 自衛隊沖縄地方協力本部石垣出張所
第8話 静岡県浜松基地、AWACS E-767
第9話(1) アレクサンドラ中佐
第9話(2) アレクサンドラ中佐
第10話(1) 金少尉、旗艦龍虎山艦上1
第10話(2) 金少尉、旗艦龍虎山艦上2
⚪️与那国戦役の広瀬二尉 (近未来戦記④) 未公開
第1話(1) 佐藤彩香アナ
第1話(2) 佐藤彩香アナ
第1話(3) 佐藤彩香アナ
第2話(1) 羽生の悪知恵
第2話(2) 羽生の悪知恵
第2話(3) 羽生の悪知恵
第3話(1) 新兵器・・・って?
第3話(2) 新兵器・・・って?
第3話(3) 新兵器・・・って?
第4話(1) 久部良(くぶら)港
第4話(2) 久部良(くぶら)港
第5話(1) 与那国空港
第5話(2) 与那国空港
第6話(1) 祖納(そない)港
第6話(2) 祖納(そない)港
第7話(1) 与那国島北北西沖合
第7話(2) 与那国島北北西沖合
第8話(1) アレクサンドラの空戦(与那国島沖合)
第8話(2) アレクサンドラの空戦(与那国島沖合)
⚪️石垣戦役のキム少尉 (近未来戦記⑤) 未公開
⚪️宮古戦役のアレキサンドラ中佐 (近未来戦記⑥) 未公開
【第8話 アレクサンドラの空戦】下書き
水陸機動団の日本人が1,400名、私の部隊のロシア人男性が400名
与那国島沖合北西50キロの上空では、雲の切れ間を縫うようにアレクサンドラ中佐のSu-75「チェックメイト」4機がスーパークルーズでマッハ1.2に加速していた。新石垣空港で給油を済ませ、燃料は満タン(100%)。アフターバーナーを点けず、燃料効率を保ちながら敵に近づいていた。アレクサンドラ中佐はコックピットのHUDを睨みながら、心の中で状況を整理していた。
燃料は満タン、新石垣空港からたった200キロと、彼女にとっては楽勝な距離だった。対するJ-20は広州東空軍基地から1200キロも飛んできており、燃料は60%くらいしかないと推測されていた。アレクサンドラ中佐はこの戦場をチェス盤と見なし、自分を女王と位置づけていた。彼女の唇には自信満々の笑みが浮かんでいた。新石垣空港での記憶が彼女の脳裏をよぎる。エレーナの婚約者である鈴木三佐の手のひらを中指でなぞった時、彼女は内心でニヤリとしていた。男を翻弄するのは彼女にとって簡単なことだったが、今はJ-20を狩る方が面白いと感じていた。
「距離70キロ……60キロ……」と、イリヤの声が通信に響いてくる。緊張で震えているのが明らかだった。アレクサンドラ中佐は彼の若さに内心で舌打ちしつつも、心の中で挑発的な笑みを浮かべていた。イリヤはビビっているものの、彼女の可愛い子分だった。彼女は彼を守りつつ、しっかり敵を撃つよう内心で励ましていた。成果主義者の彼女にとって、ロステックの賞金20万ドルが頭をよぎる。4機仕留めれば80万ドルとなり、畠山三佐と豪遊できると考える一方で、仲間への責任感も強く感じていた。新石垣でエレーナに「私の男に手を出すな!」と怒られた時、彼女は内心で笑っていたが、今は従妹の部隊を守るためにも勝たねばならないと思っていた。
「敵機、ロックオン! R-77M、発射!」とタチアナが叫び、ナイト3から中距離ミサイルが放たれた。射程110kmのR-77Mが雲を突き進む。J-20もPL-15を4発発射してきた。射程200kmのミサイルが迫ってくる中、アレクサンドラ中佐は機体を急旋回させ、フレアを展開した。「ナイト全機、散開! 接近戦に持ち込むわよ! 敵の燃料が尽きる前に、私がこのゲームを終わらせる!」と彼女は高らかに指示を出した。燃料で勝っているという確信が彼女を支えていた。
彼女の燃料残量は98%、イリヤは99%、タチアナは97%、ヴィクトルは98%だった。J-20は推定60%程度と見積もられていた。ミサイル残存数は、アレクサンドラ中佐がR-77M 3発・RVV-MD2 2発、イリヤが同じ、タチアナがR-77M 2発・RVV-MD2 2発、ヴィクトルもR-77M 3発・RVV-MD2 2発だった。J-20はPL-15を3発、PL-10を2発残していると推測されていた。
燃料で圧倒している状況に、アレクサンドラ中佐は満足していた。ロステックの関係者に「チェックメイト」の凄さを見せつけ、賞金で豪遊するつもりだった。東ロシアの誇りもかかっているため、負けるわけにはいかない。彼女の心は自信と挑発的な興奮で満たされていた。
最初の犠牲
戦闘が始まって数分後、ヴィクトルのナイト4がJ-20を追っていた。雲間に敵機が現れた瞬間、彼はアフターバーナーを点火し、マッハ2に加速した。燃料が95%に落ち、RVV-MD2を発射したが、J-20はスーパークルーズで回避し、背後に回り込んできた。
「速すぎる!」とヴィクトルの声が通信に響いてくる。アレクサンドラ中佐は内心で舌打ちしていた。ヴィクトルが燃料満タンの状況でアフターバーナーを使う愚かさに苛立っていたのだ。彼女の警告が届く前に、J-20のPL-10が右翼を直撃。「ナイト4、被弾! 脱出する!」というヴィクトルの叫びが聞こえた。
しかし、J-20の20mm機関砲が追撃してきた。ヴィクトルのSu-75が爆発し、火球が雲を切り裂いた。アレクサンドラ中佐の耳に爆音が響き、通信が途絶える。彼女の心には怒りと痛みが渦巻いていた。新石垣でヴィクトルが言った「中佐、賞金で故郷に家を建てますよ」という言葉とその笑顔が蘇り、彼女の自信家な仮面が一瞬剥がれた。
彼女は自分の指示が甘かったのか、それともヴィクトルが勝手に突っ込んだだけなのかと自問した。だが、彼は自分の部下であり、責任を感じざるを得なかった。唇を噛み、挑発的な笑みを無理やり浮かべた彼女は、悔しさを抑えつつも泣いている暇はないと決意。「ナイト全機、燃料と状況を報告!」と声を張った。イリヤが「燃料97%、R-77M 3発、RVV-MD2 2発」、タチアナが「燃料95%、R-77M 2発、RVV-MD2 2発」と応じてきた。アレクサンドラ中佐の燃料は96%、J-20は3機で推定58%だった。
彼女はまだ優勢だと確信し、ヴィクトルの死を無駄にしないと心に誓った。
反撃の狼:賞金と仲間の間で
アレクサンドラ中佐は怒りを燃料に、J-20に照準を合わせた。スーパークルーズで接近し、ヴィクトルの仇を取ると同時に20万ドルを獲得するつもりで、心の中でニヤリとした。敵が急上昇で逃げようとしたが、Su-75の機動性が勝り、RVV-MD2で仕留めた。「1機撃墜! 残りR-77M 3発、RVV-MD2 1発、燃料95%!」と報告し、20万ドルを手に入れたことに満足していた。ロステックも喜ぶだろうと考えていた。
タチアナが別のJ-20と交戦していた。R-77Mを放ち(アレクサンドラ中佐の確認では、タチアナの残りはR-77M 1発、RVV-MD2 2発、燃料93%)、別のJ-20に挟まれてしまう。「リーダー、援護を!」とタチアナが叫んだ。アレクサンドラ中佐の心が叫びを上げた。タチアナは彼女の右腕であり、失うわけにはいかなかった。急行したものの間に合わず、PL-15がタチアナを捉え、アフターバーナーで回避を試みたが燃料が90%に落ち、機体が爆発した。
新石垣でのタチアナの言葉「貴女の下で戦えて幸せよ」が響き、アレクサンドラ中佐は自分のせいではないと自分を納得させつつも、彼女の分まで戦うと誓った。「イリヤ、状況は?」と声を絞り出すと、イリヤが「燃料96%、R-77M 3発、RVV-MD2 2発。リーダー、大丈夫?」と心配そうに応じた。アレクサンドラ中佐は挑発的に笑い、「大丈夫よ。敵は3機。賞金稼ぎの時間よ!」と返した。
逆転の糸口
与那国島沖合北西50キロの上空で、戦闘が始まって10分以上が経過していた。アレクサンドラ中佐の「ナイト」小隊のSu-75「チェックメイト」は、彼女とイリヤの2機だけが残り、J-20はまだ3機が健在だった。彼女の燃料残量は95%、イリヤは96%。新石垣からの200キロの飛行は、満タン状態の燃料にほとんど影響を与えていなかった。一方、J-20は広州東から1200キロ飛んできており、燃料は推定55%まで落ち込んでいると見積もられていた。
アレクサンドラ中佐はコックピットでHUDを睨みながら、唇に自信満々の笑みを浮かべていた。燃料で圧倒している状況に、彼女はこの空の女王だと感じていた。ヴィクトルとタチアナの分まで敵を狩る決意が彼女を突き動かしていた。新石垣空港での記憶が心を熱くし、エレーナの婚約者である鈴木三佐に挑発的な握手を仕掛けた時の感覚が甦ってくる。男を翻弄するのは簡単だったが、今はJ-20を仕留める方がスリリングだった。ロステックの賞金40万ドルをすでに獲得しており、あと2機で80万ドル。畠山三佐との豪遊が彼女を待っていた。
彼女の性格は成果主義と肉食系の奔放さが混ざり合っていた。新石垣でのブリーフィングで、紺野二佐に「J-20を狩って賞金を稼ぐ」と豪語した時の自信が、今も彼女を支えていた。しかし、その裏には仲間への深い責任感があった。ヴィクトルとタチアナを失った痛みが、彼女の心に鋭い棘となって刺さっていた。部下が死んだのは自分の指示が甘かったのか、それとも彼らが焦っただけなのか。彼女は自分を守ると約束したはずなのに、と自問していた。
「イリヤ、私の後ろに付けなさい。囮になって敵を引きつけるわ。お前が仕留めて、賞金の半分あげるから、しっかりやりなさいよ!」と彼女は挑発的で楽しげに指示を出した。イリヤが即座に「了解、リーダー! 残りR-77M 3発、RVV-MD2 2発、燃料96%。準備OKだ!」と応じた。彼の声に迷いはなかったが、アレクサンドラ中佐は内心でニヤリとした。ビビっているくせに頑張るイリヤを可愛い子分だと感じ、しっかり働いてもらうつもりだった。
彼女は機体を急降下させ、スーパークルーズでマッハ1.2を維持。燃料を節約しつつ、J-20の注意を引きつけた。雲の切れ間を縫うように機体を動かし、HUDに映る敵機の微弱な反応を追っていた。2機のJ-20が彼女の動きに反応し、追尾を始めた。彼女の挑発的な戦術が功を奏し、敵のフォーメーションが乱れた瞬間、イリヤが雲の上に潜み、背後を取った。
「ロックオン! R-77M発射!」とイリヤが叫び、射程110kmのミサイルがJ-20の一機に命中した。爆発が雲を切り裂き、機体が海面に落ちていく(イリヤの残りはR-77M 2発、RVV-MD2 2発、燃料94%)。「2機目撃墜だ!」とイリヤの声に興奮が混じる。アレクサンドラ中佐はその隙を見逃さず、旋回して別のJ-20に照準を合わせた。
彼女は12.7mmガトリング砲を外装した主翼下から発射した。最大弾数1000発のガトリング砲が火を噴き、J-20のコックピットを直撃。ガラスが砕け散り、機体が制御を失って墜落した(彼女の残りはR-77M 3発、RVV-MD2 1発、燃料93%)。3機目の撃墜で60万ドルを獲得した。残り1機で80万ドルという状況に、彼女の心に勝利の昂揚が広がったが、ヴィクトルとタチアナの顔が浮かび、一瞬だけ表情が曇った。賞金は嬉しいものの、彼らが生きていればもっと良かったと感じていた。
「残り1機よ、イリヤ。気を抜かないでね!」と彼女は警告を発した。声は挑発的だったが、心の奥ではイリヤへの心配が芽生えていた。あと1機を仕留めれば燃料で圧倒している状況を活かしきれるが、油断すれば終わりだ。イリヤが最後の子分であり、彼女は彼だけは死なせないと決意していた。戦闘の流れが手中にあると感じつつも、最後の敵への警戒心が彼女を支配していた。
最後の決着
戦闘が15分を超えた。アレクサンドラ中佐とイリヤの2機は、雲の中で最後のJ-20を探していた。J-20の燃料は推定53%まで落ち込んでおり、残りのミサイルはPL-15が2発、PL-10が2発くらいだと見積もられていた。彼女の心は極度の緊張と興奮で満たされていた。最後の獲物をどこに隠れているのか探りながら、彼女の肉食系の性格が全開になり、敵を狩るスリルが彼女を突き動かしていた。
新石垣での記憶がフラッシュバックしてきた。戦いが終わったら畠山三佐を試してみたいという思いが浮かんでいたが、その前にJ-20を仕留めて80万ドルを確定させる必要があった。成果主義が頭をもたげ、ロステックへのアピールと賞金への執着が彼女の戦意を高めていた。しかし、同時に仲間への責任感が彼女を縛っていた。ヴィクトルとタチアナを失った痛みが残り、イリヤを絶対に守ると決意していた。
「イリヤ、背中を預けてね。敵がどこに潜んでるか分からないわ。私の勘を信じなさい」と彼女は通信で指示を出した。イリヤが「了解、リーダー。燃料94%、R-77M 2発、RVV-MD2 2発」と応じた。彼女の状況は燃料93%、R-77M 3発、RVV-MD2 1発だった。燃料にまだ余裕があり、敵は限界に近い。彼女は勝利を確信していた。
雲の動きが一瞬止まり、彼女の鋭い感覚が敵の気配を捉えた。機体を微妙に傾け、敵の位置を予測しながら挑発的な動きで誘い出した。すると、イリヤの背後にJ-20が突然現れ、PL-15を発射してきた。「リーダー、後ろだ!」とイリヤが叫ぶ。アレクサンドラ中佐は即座に機体を急旋回させ、フレアを展開し、ミサイルが雲の中で逸れるのを確認した。
J-20がイリヤを狙ったことに、彼女の心に怒りが湧き、挑発的な笑みが浮かんだ。子分に手を出すことは許さないと決意した。J-20は燃料が少ないにもかかわらずアフターバーナーを点火し、マッハ2で接近。燃料が50%に落ちた瞬間、20mm機関砲が火を噴いた。彼女は機体を急上昇させ、弾丸を回避しようとしたが、右側面に数発が命中し、警告音がコックピットに響いた。燃料は91%に落ちた。
被弾したものの、まだ飛べると判断した彼女は、イリヤを守ることを優先した。一瞬の焦りを抑え、自信を取り戻した。J-20がイリヤに迫るのを見て、彼女は叫んだ。「イリヤ、今よ! RVV-MD2で仕留めなさい! お前ならできるわ!」イリヤは敵機の真横に位置し、ミサイルを発射。射程40kmのRVV-MD2が命中し、J-20の胴体を粉砕した。4機目の敵が海に落ちていく(イリヤの残りはR-77M 2発、RVV-MD2 1発、燃料92%)。
爆発の閃光が雲を染め、アレクサンドラ中佐は機体の状態を確認した。損傷は深刻だが帰還は可能だと判断し、全機撃墜を達成したことに安堵した。80万ドルが確定し、勝利の昂揚が広がったが、ヴィクトルとタチアナの顔が浮かび、胸が締め付けられた。獲物を全て仕留めたものの、彼らが生きていれば賞金を分けて豪遊できたのにという思いが彼女を襲った。
イリヤの声が通信に響いてきた。「リーダー、無事か?」「ああ、何とか生きてる。全機撃墜を確認。帰投するわ」と彼女は答えた。声は疲れていたが、挑発的なトーンが残っていた。イリヤを称賛しつつ、彼が最優秀の子分だと感じていた。
終幕
与那国島沖合北西50キロの上空に静寂が戻った。アレクサンドラ中佐のSu-75はR-77M 3発、RVV-MD2 1発、燃料91%、イリヤのSu-75はR-77M 2発、RVV-MD2 1発、燃料92%を残して新石垣空港へ帰還の途についた。J-20はPL-15を10発、PL-10を4発使い果たし、燃料50%以下で全機撃墜されていた。
夕陽が雲を赤く染める中、アレクサンドラ中佐はコックピットで一人、目を閉じた。ヴィクトルとタチアナへの謝罪が心に浮かぶ。自分がもっと上手く指揮できていれば彼らが生きていたかもしれないと考え、勝利の喜びと喪失の痛みが彼女を引き裂いていた。ロステックの賞金80万ドルが頭をよぎったが、それは今、虚しく感じられた。賞金は嬉しいものの、彼らがいたら畠山三佐をからかって一緒に笑えたのにと思っていた。
新石垣でのエレーナとの再会を想像しながら、彼女は呟いた。「エレーナ、君の部隊が地上を守ったなら、私も空を守ったよ。でも、代償が大きすぎたわ……」そして、畠山三佐を思い出し、挑発的な笑みを浮かべた。戦いが終わったら彼を試してみるのもいいと感じ、生きている実感を求めていた。
「これが私たちのチェスよ。勝っても、負けても、駒は減っていく……」と彼女は呟いた。瞳には次の戦いへの覚悟と失った仲間への哀悼が宿っていた。奔放な性格と責任感が交錯する中、戦いは終わりを迎えたが、彼女の心の中の戦いはまだ続いていた。
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