秋 淡黄 1
鈴蘭から、急いで知らせたいことがあると言われ、四人で集まったのがもう三か月前のことだ。
風生家の書庫で見つかった和綴じの本の内容は衝撃的だった。
数世代ごとに四家に同い年の女の子が生まれ、その子達が十六歳になると呪いが発動して、十八歳になるまでにどうにかしないと死んでしまうというのだ。
普段なら笑い飛ばすところだが、櫻子と鈴蘭が事件に遭ったのはどちらも十六歳の誕生日のことだった。
次に誕生日を迎えるのは紫苑だった。
両親の態度にも納得がいった。三か月前、二人は何かに焦っているようだが、そこまで切羽詰まったようには見えなかった。
紫苑の誕生日が近付くに連れて、彼らは焦りに加えて、恐れや悲しみといった感情を必死に隠しながら紫苑に接するようになった。
表面上はいつも通りに接してくる母が、毎晩眠れずに泣いているらしいことも知っている。紫苑に何か起こる前に、母がどうにかなってしまいそうだ。
和綴じの本には、歴代の娘たちのエピソードが物語風に記してあった。
それを読むと、娘達を心配した家族や周りの者が、彼女たちに鬼や呪いのことを話すと、十六歳になる前であっても、彼女たちの身に危険が迫るようだ。
だから、親たちは手出しせずに見守るしかない。と言っても、何もしなければ娘たちは次々と災厄に遭い、結界のことも分からないままだ。
そこで、総社神宮の歴代の宮司が秘術を用いて呪いの影響を受けないようにした上で宣告する決まりらしい。
それが四月に風生家で行われた集まりだったのだ。
既に十六歳になってしまった櫻子と鈴蘭は、それぞれの事件が起きたことを理由に、身辺の警護を固めているようだ。
たまたま二人とも無事だったが、またいつ何が起こるか分からない。
現在の急務は、結界とは何なのかを探ることだ。
四家にそれぞれあるようだが、そんなものあるだろうか?
また、結界を張りなおすのもどうやればいいんだろうか。
紫苑の誕生日が1か月後に迫っていた。
誕生日が来るまではとりあえず大丈夫だと分かっているが、最近は学校と家の往復しかしていない。
紫苑が出掛けると、両親、特に母親がものすごく心配するからだ。
これ以上負担をかけたくなくて、部活も外出も控えている。子供の頃からずっと水泳を続けているので、泳がない生活というのは変な感じだった。
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