第5話 撒き餌

直人はとある海外のサーバーに書き込みを行った。


「xxxxxxへ、お前たちの証拠を掴んだ。」


xxxxxは、直人のPCから引き上げた痕跡だった。PCに侵入したものならわかるはずだ。


そのサーバーは、直人のPCから追跡したアドレスから特定した、一般には公開されていないものだった。


おそらく、ここにいる


確信はなかったが、直人は短いメッセージを書き込むことにした。


書き込んだ直後、大量のメッセージが届いた。


グロ画像のリンク、麻薬販売、ポルノ。。

その大量のメッセージの中に、一つだけシンプルなものがあった


とある英数字の羅列。


見た目にはまったく意味をなさない、それは、暗号化された文字列だった。


文字列の長さから言って、もう使われていない暗号アルゴリズムのどれかだろう。これなら解読キーがなくても解読できる。


直人は昔の解読ツールを起動した。すると、チャットルームのURLとルームキーが現れた。


「手を出すな! ガキが」


チャットルームに入ると、冷たく、威圧的な言葉が飛び込んできた。


それは、直人の存在を知っている者からの警告だった。


直人は、自分が今、想像もつかない巨大な何かに踏み込んでいることを悟った。


<つづく>

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