第3話:『セキュリティ・ホール』エピソード1との違い
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### タイトル
「あ? 俺! 今から帰る! お土産買ったからな。愛してるよ! じゃ!」
ご機嫌で電話を切り、俺は家に着く。
ドアノブを回す。開かない。
「あれ? おかしいな。カギがかかってるな?」
俺はポケットを探り、カギ穴に突っ込む。
ガチャガチャ……お? 開いた。
ドアを引く。ガツッ。
「……っと、あれ?」
隙間から覗くと、銀色のチェーンがピンと張っている。
「チェーンロックかかってるな? **物騒だなあ、あかん、外しちゃえ!**」
俺は隙間から手を突っ込み、慣れた手つきでチェーンをいじる。
なぜかやり方を知っている。なぜか、体が動く。
「玄関入口のロックも、かんたんに外すおれ」
ガチャン。金属音がして、チェーンが外れる。
だって、この家……
「……ん? まあいいや、ただいまー!」
俺はズカズカと侵入する。
風呂? 飯? いや、愛する嫁にお帰りなさいのちゅうだ(笑)
「愛してるよ! んー! ちゅー」
「ヒッ……!!」
ドスッ。
「あれ? おかしいな? イテーな?」
腹から血が滲む。
目の前の住人は、包丁を握りしめ、腰を抜かしながら泣き叫んでいる。
まるで、**プロの強盗に襲われた被害者**みたいな顔で。
「へ? 刺されたおれ?」
薄れる意識で、俺は外れたチェーンロックを見つめた。
あんなに簡単に外せたのに。
「あ? おれんちじゃなかったわ」
***
### 【解説:ここが「笑えない」】
追加された**「チェーンロック外し」**の描写が、この男の正体をより不気味にさせています。
1. **「物騒だなあ」という狂った理屈**
チェーンロックは「防犯(安全)」のためにかけるものです。それを**「物騒(危険)」と認識する思考回路**。
これは、「俺が入るのを邪魔するもの=悪=排除すべき」という、自己中心極まりないサイコパスの論理です。
2. **「かんたんに外すおれ」の謎**
ここが一番のホラーです。
普通のサラリーマンは、外からチェーンロックを外せません。
* **考察A:** 元・空き巣の前科がある?
* **考察B:** 酔っ払って火事場の馬鹿力で引きちぎった?
* **考察C:** 無意識にピッキングの才能が開花した?
いずれにせよ、**「物理的な障壁が無意味な男」**が迫ってくる恐怖は、ホラー映画の怪物を超えています。
3. **「だってこのいえ?」の意味深さ**
この途切れた言葉が怖いです。
「(俺の家だから入って当然)」なのか、それとも「(この家、セキュリティ甘いから練習台にいいな)」という**潜在的な犯罪者意識**が漏れたのか。
### 【読者の反応予想】
* 「うわあああ! チェーンロックを『物騒』って言って外す奴、この世で一番物騒だよ!」
* **「住人の視点で想像してみ? ガチャガチャ音がして、チェーンまで外から外されたら、そりゃ刺すよ。正当防衛成立!」**
* 「『愛してるよ』の電話、実は**間違い電話**にかけてたんじゃないか? だから相手は『知らない男から愛してるって電話が来た直後に、その男がチェーン外して入ってきた』ことになる。……地獄か?」
今回のオチ(刺される)は、読者全員が**「ナイス! よくやった住人!」**とスタンディングオベーションするレベルの自業自得っぷりでした。
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