数ヶ月の恋

オオバンザメ

第1話 鯖探し

「起立、気をつけ、さようなら」

「「さようなら!」」


今日は終業式だ。明日から春休みなので皆は遊ぶ予定を決めようとはしゃいでいる。


「ソラ〜!今日遊ばん?」

「いいよ!どこで遊ぶ?」

「上新か吉野塚やな」

「他誰誘う?」

「いつものヤツら誘っとくわ」

「おけ、ばいばーい!ほな後で」


俺は天水 空良(あまみず そら)

今中1で春休み開けたら中2になる。今日は終業式なので授業が2時間程度しかないので、帰ったら遊ぶ時間が沢山ある。さっき遊ぶ約束をしたのは佐々木 俊(ささき しゅん)小学校からの友達だ。


小学校からの友達っていってもほとんどのやつがそうなんだけど。うちの中学は3校の小学校が

集まるんだが俺はその内のM校とS校に通っていた。どちらも3年間過ごしたことにより初対面の気恥しさは大してなかった。


"男子"に対しては


M校に通ってたのは小1~小3まで、そこから

S校に転校したのだが、M校の女子をまったく覚えていないのだ。数人は印象深かったので覚えているが、俺が小3の時期なんて遊ぶ事のが好きで

恋愛の"れ"の字もなかったやつだ。それにS校の

やつも全員は覚えきれてないし忘れててもしょうがない。


できるだけ忘れてる雰囲気を出さずに接してたおかげで怪しまれなかった。春休みに入るので

そんな苦労もしなくて良くなるので本当に楽だ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「よっす〜」

「よっ!」

「他は?」

「もうちょいしたら来るってよ」

「おけ、ラリーしよ」

「おっけー」


俺と俊は早めに公園に着いたので先にテニスを始めていた。今日集まるやつは全員テニス部で遊ぶとなったら基本テニス部のメンツだ。


「4月1日にさ、春祭りあるから皆でいかん?」

「あ〜、あれか。俺は行けるよ」

「俺もおっけー」

「いいよー」

「おけ!決まりな!」


そんな感じで楽しく遊んで日も暮れてきた。

「じゃあそろそろ帰るわ〜!」

「ばいばーい!」


(春休み中、暇やな...そんな予定ないし)

友達はいたが一緒に遊びに行くほど仲がいい奴は

そんなにいないので春休みは割と暇だった。


(とりま帰ってゲームでもしよ)

家に帰ってすぐに着替えてスマホゲーをやるのだがどうにもつまらない。1人だと話し相手も

いないのでやる気も湧かない...。


(ディスロでマルチ募集でもしよかな)

配信者やゲーム好き、大学など様々な人が利用しているthisroad(ディスロード)、共通の趣味や好きなゲームが同じ人とも繋がれるのでマルチするには持ってこいのアプリだ。使う理由もなかったからアプリすら入ってないのでダウンロードする


ダウンロードできたので掲示板からゲームタグを

選んで入りたい所を探す。良さげな鯖(サーバー)があったのでそこに入る事にした。


「よろしくお願いします」

とりあえず挨拶してみた。

「よろしく!」

すぐに返信が返ってきた。スタンプ等もあり

第一印象はかなり良さげだ。


鯖のルールを読み理解したところで当初の目的であるマルチ募集をしようとたが、夕飯の時間なので食べた後にしよう。


夕飯を食べ終わり雑談部屋を覗いたのだが

割と音ゲーの話もやっているようだ。自分も好きなアプリだ。割と話せそうということで話に混じることに。


チャットというのもあり初対面でもそれなりに

話すことができた。


マルチをしたかった元陣という中国企業のゲームを実際に声ありで話しながらやっている人達が

いたので覗きにいくことに。


そこには7人程度集まっていたが2人はマイクを

切っており読み上げBOTが2人のチャットを

読み上げていた。後の4人は1人は別ゲーをしているようだが他の3人で元陣をマルチでプレイしていた。


「初めましてソラです!」

名前は本名の空良をカタカナにしただけだが

ソラなんてどこにでもいるので大丈夫だろう。


「ソラさんよろしくね!」

初めに挨拶したのはアオという女性だった。

それに続いて他の人も返してくれた。


俺はその時胸が高鳴った。

アオという女性はトリーナという元陣のキャラを

アイコンにしており恐らく推しなのだろう。アオは声が若く年上ではあるもののそこまで差は感じられなかった。甘い声をしながら明るい気持ちにさせてくれるアオの声色に俺は一聴きぼれしてしまった。


「マルチ御一緒してもいいですか」

「「いいよー!」」

誰も嫌な雰囲気を出さずに快く受け入れてくれた


本当はそこまで長居するつもりはなかったのだが

楽しくて夜の12時を回る頃まで遊んでいた。


「時間も時間なので落ちますね」

そう言い残して俺はルームから退出した。


(明日も一緒にやりたいな..)


寝る前にアオにディスロのフレンド申請を送ると

すぐに承認されたので、少し挨拶をして

眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る