第7話 あたしが大きくしてあげる

「めちゃくちゃのぐちゃぐちゃにしてほしい。下のほうがモヤモヤする……」


 咲穂が俺の耳元で小さくささやく。

 これはつまり、していいということか。

 だが、俺の息子は童貞卒業の緊張でしぼんでいる。

 これから大きく育てる必要があるが……


「あ! ごめんね! これじゃ純くんできないよね?」

「うん。そうだな。なんとかしないと……」


 ★


 俺たちはラブホを出て、大崎家に向かう。

 今日は大崎家で晩御飯を食べることになっていた。

 俺と咲穂は、最後までシタ。

 これで俺は童貞卒業、咲穂は処女卒業(?)だ。


「純くん、好き……」


 大崎家に向かう途中、咲穂は俺の腕に絡んでくる。

 俺たちはお互いにだったが、三回もシテしまった。

 相性がぴったりだったいうことだと思う。

 心地良い疲労感が身体を巡っている。

 

「あたし、今、すごく幸せな気持ち。このまま死んじゃってもいいくらい」

「死んじゃったら悲しいな」

「今までの人生の中で最高の日だった」

「俺もだよ」

「あの……その、純くん……」


 咲穂は顔を赤くて、何かを言おうとしている。


「うん? どうした?」

「…………また、明日も、シテほしい」

「明日も? 何を?」


 俺はわかっていながら、わざと聞く。

 

「もう! わかってるくせに!!」


 ポンっと、俺に胸をパンチする咲穂。

 

「…………今日、すごく、気持ちよかったの。空の彼方まで飛んで行ってしまうぐらい、気持ちよかった。あんなに気持ちいいのは、本当に初めてだったから……」


 咲穂はさらに顔を赤くする。

 たしかに女の子の口から言いづらいことだ。

 気持ちよかったから、明日もえっちしたいなんて――


「わかった。じゃあ明日もしよう」

「うん。明日も絶対ね」


 そんな話をしながら、俺たちは大崎家に到着した。

 えっちした後に、カノジョの家族と一緒に食事をするのは、考えてみるとなかなかない状況だ。

 どうしてもさっきあったことを意識してしまうよな……


 ★


「おかえりなさい! 純くん、咲穂! あら、二人ともなんだかいつもと違うわね」


 大崎家の玄関で俺たちを迎えてくれたのが、咲穂のママ――香織さん。

 三十代なのに、娘たちと変わらないぐらい若く見える。

 動くたびに揺れる、大きすぎるおっぱい。


「え? ええ?! 別に違うところなんてないよ!!」


 あからさまに動揺する咲穂。

 

 (おいおい。そんなに動揺したらバレて……)


「ふうん……なんか怪しいなあ。まあ、二人が仲良しならいいけど」

「本当に何もないからね!」


 そして、俺はリビングまで通される。

 

「あ、純! 久しぶり~~!!」


 元気に俺に声をかけてきたギャルは、玲央奈。

 通称、れお姉だ。

 俺と咲穂の、ひとつ年上だ。


「あ……純兄だ……こんばんは……」

 

 小さな声で俺に挨拶してきた、大人しそうな眼鏡少女は、美音。

 俺と咲穂に、二つ年下で、今は中等部の三年だ。


「さあ、晩御飯にしましょうか!」


 香織さんが手を叩いた。



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