第5話 カノジョの初めて裸を見てしまう

「もっと、もっと、強く、ぎゅううううっとして!!」

「ううん……わかった」


 俺はさらに強く、咲穂の尻を掴んだ。

 柔らかい肉の中に、指を沈んでいく。


「はあ、はあはあ……純くん、これ好き」

「そうか……ううっ!!」


 咲穂の舌が、俺の口の中へ入ってきた。

 思ったよりも、かなり激しいな……

 本当に「初めて」なのだろうか?

 なんだかすごく慣れているようにも感じる。

 咲穂がこんなに「エロい」女の子だなんて、知らなかった。

 大人しくて、控えめで、清楚な感じの女の子のはず。

 でも、えっちの時はとても積極的みたいだ。


「…………ベッドへ行こうか」

「うん」


 このまま立ったまま、いろいろスルのは大変だ。

 だから俺は咲穂の手を引いて、ベッドまで連れていく。


「あたし、少し汗臭いかも?」

「いや、そんなことはないよ」


 俺はそう言ったが、実は少しだがしょっぱい匂いがした。

 季節は七月で夏だ。

 男の俺は、もっと汗臭いかもしれない。

 

「あたし、シャワー浴びてくるね」

「ああ……」


 そうだった。まずはシャワーだった。

 こういうのには、いろいろと手順がある。

 俺も咲穂も「初めて」だ。

 最初は手順通りに慎重に進めたい。 

 咲穂に嫌な想いをさせるのはダメだ。


 しゅるしゅるしゅる…………

 

 脱衣所に入った咲穂の、絹ずれの音が聞こえる。

 俺はベッドに座って待っていた。

 今、咲穂は裸だろう。

 俺たちは一年も付き合っていたが、手を繋ぐ以上のことはしていない。

 さっき、初めてキスをした。

 まあ初めてのキスにしては、激しすぎるものだったが。


「今、準備しておくことは……」


 友達から聞いたが、女の子が恥ずかしがらないように、明かりを消したほうがいいらしい。

 俺はベッドにある部屋の明かりのスイッチを切る。

 薄明りの中で、俺はシャワーの音をずっと聞く。

 水の跳ねる音がする。

 当然だが、今、咲穂は裸だ。

 咲穂は胸が大きい。

 さっき触れた尻は丸くて柔らかった。


「純くん! ごめん! タオル持ってきて!!」


 シャワールームから声がする。

 咲穂はタオルを持ち込むのを忘れたらしい。

 俺はタオルを取って、脱衣所へ行くと——


「あ……咲穂」


 そこには、シャワールームから出た咲穂がいた。

 一糸纏わぬ姿。

 ふわりとお風呂上がりのいい匂いがする。


「これ、タオルだから……」


 俺は目を逸らしながら、タオルを先穂に渡す。

 これからそういうことをするというのに、咲穂の裸を見るのはひどく恥ずかしい気持ちになった。

 見られた咲穂のほうがもっと恥ずかしいだろうけど。


「あ、ごめんなさい……!」


 タオルは謝りながら、俺からタオルを受け取る。

 俺は急いで脱衣所を出た。


「これからえっちするのに、俺たち大丈夫かな……?」







 

 

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