第5話 実験!身をもって知ったお酒の影響を記録
そんな時代の変化の中で、私は”ソバーキュリアス”という言葉と出会い、「飲まない未来の自分に興味があるから飲まない」という好奇心から、しばらくの間飲まない選択を続けてみることにしました。
【飲まない選択、最初の1週間】
2〜3日目は『飲みたい波』が強く押し寄せてきましたが、ノンアルコールビールやノンアルモヒートを自分で作って楽しみました。夜は映画を観てゆったり過ごしました。映画の内容がスッとはいってくる―飲んでいない方が映画を楽しめることに気付きます。そして飲まないを選択した自分の記録をつけてみることにしたのです
1週間――明らかに朝の目覚めが違ったのです。
目覚ましより早く目が覚め、体は軽く、気分は晴れやか。まるで子供の頃の夏休みみたいに、「今日は何をしよう?」とワクワクする気自分がいました。ベランダに出て新鮮な空気を吸い、見下ろせば犬の散歩やジョギング、仕事へ向かう人々。そんな日常の景色が、特別に輝いて見えました。アルコールをたった1週間抜いただけで、世界がこんなにも清々しく映るのかと感動した朝でした。
2週間――を過ぎた頃には、自然と朝に軽い運動をするようになりました。時間と体力に余裕がでできたからです。ウォーキングに出掛けてからストレッチをするのが日課になりつつありました。朝に体を動かすと、仕事の効率が上がることに気づいたのもこの頃です。
【3週間ぶりに飲んだ日】
そして、ソバーキュリアスを意識して3週間が経ったある日、妹の家で夕食をともにする日がやってきました。その日は妹夫婦の結婚記念日。私が姪と甥のお守りを引き受け、二人はランチデートへ。
18時ごろ、お土産を手に帰ってきた二人の笑顔は晴れやかで、引き受けてよかったと思いました。
実は、私はその日が来るまでずっと悩んでいました。「飲むか?飲まないか?」と。
義弟は私と同じくお酒好きで、今や唯一の“気のおけない飲み友”。
しかもこの日のために、わざわざ高知からカツオのたたきを取り寄せてくれていると言うではないか。「これは……飲むしかないよね?」
3週間ぶりのビールは、まるで花の香りのよう。ホップの香りがふわっと鼻に抜けて、「こんなに美味しかったんだ」と、ビールの持つ本来の繊細な味わいに今さらながら気づきました。その夜は、ビール1杯と白ワイン、日本酒を少し。美味しい料理と楽しい会話に満たされた、幸せな時間でした。
【たった一晩の飲酒がもたらした"4日間の落差"】
◆飲んだ日の夜 ――寝返りをする度に覚醒する感覚、眠りが浅いことに気づきます。2時には強い喉の渇きで水をがぶ飲みし、そのまま眠れずスマホで動画を見てしまいました。
◆翌朝――寝起きは悪く、体はむくみ、だる重い。感覚が以前よりも研ぎ澄まされて、この重さがより明確にのしかかってきました。集中力が続かず、なんだか頭が重くて気分も沈みがちです。そして何より困ったのは、「昨日飲んだから、今日もちょっと飲みたいな…」と思ってしまうこと。 これは「依存の入り口」なのではないか……?
◆2日後の朝 ――朝まで眠れる。まだ体が重い感じが抜けない。むくみは取れても、3週間飲まなかったときの穏やかさには戻れない。集中力は依然続かず。あの日、ベランダで感じたあの清々しさとはまったく違い、どこかどんより。日課になりつつあった朝の運動すらやる気になれません。「ウォーキング?…めんどくさいなぁ…」
◆3日目の朝――昨日と同じように、仕事も捗らず、ウォーキングに出る気力もわきません。体の重さに加えて、”出来ていない自分”への自己嫌悪がのしかかり、気分はさらに沈んでいきます。そして恐ろしいのは、そんな落ち込みを「また飲めば楽になるのでは」とお酒で埋めたくなる衝動が出てくることでした。
◆4日目――でやっと解放
ようやく体の重さと気分の沈みから解放されたのは、飲酒から4日目の朝でした。
毎日飲んでいた頃には当たり前すぎて気づかなかったこと――それが、3週間ぶりに改めて飲んでみて、まるで実験をしているかのように自分を観察して初めて見えたのです。
「たった一晩飲んだだけで、ここまで体にも心にも影響が4日間も残るのか?」……ショックでした。 これほどまでに長く、はっきりと影響が続くなんて、私の想像をはるかに超えていました。
【体に残る“毒”の正体】
「なぜ、こんなに長く不調が続くのだろう?」
そう思った私は、その理由を知るために、お酒を飲んだ後の身体の変化について調べてみました。
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