第3話 🎲 人狼将棋と潜伏能力
ボードゲーム専門店『駒屋』。店主の高木は、人狼将棋のルール解説を終えると、丸眼鏡の奥の目を光らせ、芹沢に語りかけた。
「芹沢さん、あなたなら、この『人狼将棋』の、**『見えないルール』**を解き明かせるかもしれませんね。論理と不確実性……この二つに、あなたは今、強い関心を持っている」
芹沢の脳裏には、**『ファルコン』**の人事担当者の冷酷な顔が浮かんでいた。
「会社の**『組織再編』と『コスト最適化』**」
それはまるで、「人狼の能力」によって、何の予告もなく自分の人生という盤上の駒がテレポートさせられ、居場所を失ったようなものだ。
「この人狼将棋は、どこでプレイできるのでしょうか」
芹沢は、前のめりになって高木に尋ねた。このゲームこそが、自分の人生を弄んだ**『人狼』**の正体を暴くための、唯一の手掛かりのように思えたのだ。
「さあ……ネット上に情報がないと言ったでしょう?」高木はわざとらしく笑みを深めた。「ですが、そのゲームの愛好家たちが、密かに集う場所なら、私も知っている」
高木はカウンターの下から、小さな桐箱を取り出した。
「これは、ある愛好家から預かった、**『人狼将棋専用の駒』です。その者が言うには、これを手にすれば、次の『対局の場』**へと誘われる、と」
箱を開けると、中にはたった一つ、漆黒に塗られた**「角行」**の駒が入っていた。
「これが……?」芹沢は尋ねた。
「ええ。人狼将棋では、**『角行』に特別な意味がある。通常の将棋において、角行は斜めにどこまでも進めるがゆえに、『未来を見通す力』を象徴する駒だとされます。そして、この漆黒の角行には、『予言者の潜伏能力』**が仕込まれているという」
芹沢は駒を手に取った。ずっしりとした重みと、漆の冷たさが指先に伝わる。
「では、この駒が、私の**『武器』**だと?」
高木は、静かに頷いた。
「武器というよりは、**『招待状』です。この駒は、次の対局が始まる場所と、その対局者が持つ『役職』の情報を、あなたに密かに伝えるでしょう。ただし、その情報が『真実』か『偽りの証言(ブラフ)』**かは、あなたが推理しなければならない」
🐺 武器としての「駒」と「座標」
高木は、周囲を見回してから、声を潜めた。
「あなたをこのゲームに引き込んだのは、おそらくあなたの人生を破壊した**『ファルコン』でしょう。彼らは、十三君(十三敦)という重要な駒が盤上に定着した今、あなたのような『余剰の駒』**を処理することで、次のゲームの舞台を用意している」
十三敦は伝説の殺し屋だ。
「では、この駒が示す場所へ行けば、私は奴らに会えると?」
「必ずしもそうとは限りません。ですが、この駒は、あなたに**『論理』と『不確実性』を武器として与える。あなたは、ファルコンの用意した『テレポート』や『夜の襲撃』といった不条理な能力を、この駒の持つ『予知』**をもって打ち破らねばならない」
高木は最後に、芹沢の手に駒を握りしめさせた。
「この駒は、**あなたの『居場所』を取り戻すための、最初の手掛かりです。そして、あなたの人生を『自己都合』ではなく、『会社都合』で終わらせた真の理由を暴くための、『真実の透視(トゥルース・サイト)』**となるでしょう」
芹沢は漆黒の角行をポケットにしまい、深く息を吸った。ハローワークで失った自分の**「駒」と、その「居場所」**を取り戻す戦いが、今、始まったのだ。
魔法を秘めた駒は8種類
王将
角行
飛車
香車
桂馬
金
銀
歩
🚨 次の展開
芹沢が手に取った漆黒の角行は、どのような形で次の対局の**『座標』**を示すでしょうか?
物理的な手がかり:駒の裏に刻まれた暗号、または高木から渡される場所を示した地図。
術的な手がかり:駒が発する微弱な信号を、スマートフォン(チャッピー)が解析し、次の対局場である**「特定の建物や施設」**を割り出す。
過去の記録:駒の能力によって、ファルコンが過去に実行した**「組織再編」**の記録や、十三敦に関する文書の一部が垣間見える。
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