2話 オッサンは可愛くねぇ

オッサンと目が合った


「しまった」と俺は思った


失礼かもしれないが、俺だって視線を絡ませるなら、やはりかわいい人の方がいい


物分かりが良くて柔らかい方が好きなんだ。


いや、頼りになる相棒もありだが。


オッサンは少年みたいな目をしているが、所詮はオッサンだ。


足腰が死んでる。


「なぁ、だから埋まってんのか、オッサン?」


しゃがんで聞いた



オッサンは黙っているかと思ったが、軽やかに歌いだす。


流行りの──オッサンが好きそうな少女の歌謡曲みたいだ。


俺は……オッサンじゃないので、わからない。


でも、オッサンは少女のつもりかもしれん。


あり得ない。


オッサンに夢と現実を撒いてやろう。

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