第35話 ナガレの爪と肉料理

ギルドでのトラブルも解決し、あたし達は壊れたククリナイフの代わりを買うために、ドワーフの武器屋に向かっていた。


「シノブ、提案がある。人間がいない所へ行ってくれ」


言われるままに、【万能探知】を使い、人気がない所へ向かった。


「ここならいねぇぞ」


突如、ナガレが服を脱ぎだした。


「な、なんで脱ぐんだ?」


ナガレは答えず、脱ぎ終え元の姿へ戻り自身の両前足の爪を折った。


「な、なにやってんだ!」


「ワレノ ツメデ ブキヲ ツクルノハ カノウカ?」


一瞬焦ってしまったが、内容を聞いて安堵した。


「どうだかな。まぁ持っていくだけ、持っていくか。だがな、次は説明してからやってくれ」


「スマナイ」


ナガレはそう言うと、人型の姿に戻り服を着直し、あたしらは再度、鍛冶屋へ向かった。


鍛冶屋へ着くとドワーフのおっちゃんが気づき声を掛けてきた。


「朝に来た嬢ちゃん達じゃねえか。どうした?まさか、もう武器壊したとか言わないわな。ガハハハーー」


「わりぃ、壊した」


「············お前ら!!」


おっちゃんが落ち着くのを待って、事情を話した。


「ソイツは災難だったな、事情はわかった。だがよ!武器は俺らドワーフにとっちゃ子供みてえなもんなんだよ。それを····はぁ」


「すまなかった」


意外にもナガレが素直に謝った。


「推定Cランクの武器でBランクのオークジェネラルを倒しただけでも腕の良さはわかる」


おっちゃんはため息をついた。


「····その後でのハイオーガだ、奴らの皮膚の硬さはBランクの中でも上位に入る、武器がもたないのも仕方ないことだな」


気を落としたおっちゃんにナガレから預かった爪を見せてから提案した。


「おっちゃん、これで武器作ってくれよ」


横目で爪を見たおっちゃんは、眼を限界まで見開いて凝視してから、数秒動きが止まった。


「おっちゃん、大丈夫か?」


「お、おおお、お前達、な、なな」


ゴクリ····


「何だこれは!?どこで手に入れた!?こんな素材、ワシは見たことがないぞ!いったい何の魔物から手に入れたんだ!!??」


おっちゃんは先程までの様子が嘘のように、ハイテンションにまで回復した。


おいおいさっきまでお通夜みてぇだったのによ、何だこの変わり用は?ドン引きだわ!


「で!どうなんだ!!」


あたしはおっちゃんの圧に負け、ナガレに視線で助けを求めた。


「それは我の秘蔵の品だ、入手先は教えられん」


「っくぅぅぅっ····はぁ」


おっちゃんはキラキラした眼から、ナガレの言葉で駄々っ子のような顔になり、次第に諦めた顔になった。


「····わかった、人には事情もある、詮索はせん!」


とおっちゃんはキッパリ諦めた。


「····もちろん!武器の製作は任せろ!今までにない最高の武器を作ってやるぞ!」


「おう、どんくらいで取りに来ればいい?」


「お前達はいつまでこの都市にいるんだ?」


「5日後だな、時間掛かるなら伸ばしてもいいぞ」


「じゃそうしてくれ、5日後に終わらすようには作るが、正直初めての素材だからな、すまないが見当がつかん」


「わかった、宿の女将には、事情を説明すっから気にせず作ってくれ!

5日後に様子を見にくる」


「おうよ!」


おっちゃんに後は任せて宿に帰ることにした。


宿に戻って、女将に宿泊日数の相談をしたら『当日、伝えてくれればいいわ』と言ってくれた。


「そんなことより、ちゃんと例の物は完成させたわよ!」


「本当か!?」


「ええ!ナガレちゃんの分もいっぱい用意したからね」


「そうか」


あれ?そこまで喜んでいないのかとナガレを伺ってみると、腕を組んで澄ました顔をしていたが、口端にヨダレを垂らしていた。


視線を落とすと、しっぽも大変なことになっていた。


しまいには『肉····肉····』と呟きが聞こえてきた。


それを見たあたしと女将は笑った後、あたしらは部屋に戻った。


「アカ、戻ったぞ」


「くぅーん」


アカツキは勢いよく飛び付いてきて、『あるじ、あるじ』と甘えてきた。


シズクのいるベッドを見てみたが、まだ眠っていた。


「大丈夫だ、明日には目覚める」


「なら、今晩のシズの飯は明日作ってもらうように、女将に言ってくるわ」


女将にシズクの状態を説明すると『シズクちゃんのために朝は作らないとね』と満面の笑みで引き受けてくれた。


部屋に戻り、承諾してくれたことをナガレに伝えると同時に、晩飯が食べられることを話し3人で食堂に向かった。


昨日と同じ席に着き、女将が料理を運んできてくれるのを待った。


「シノブ!匂いだけでウマイのがわかるぞ!!早く我は食べたい!!!」


ナガレをたしなめていると女将が料理を運んできてくれた。


「お待たせしたわねナガレちゃん!これがシノブちゃんが教えてくれた料理、『ハンバーグ』よ!!」


とナガレの前に運んできたハンバーグは、これでもかと大皿に載せられていた。


量がヤバイな、10個以上はあんぞ!


「おおーーーー!!」


ナガレは今までに聞いたことのない声で吠えてから、すごい勢いで食べ始めた。


まぁ、気に入ったんなら良かったよ。


「喜んでもらって良かったわねシノブちゃん。」


「明らかに、女将と旦那のお陰だろ」


「あなたが教えてくれたから出来た料理よ」


あたしは、美味しそうに食べているナガレを見ながら『そっか』と呟いた。


その後、あたしは2個、アカツキは10個食べ、ナガレはわからないほど食べていた。


晩飯を食べ終わり、一旦部屋に戻り、アカツキとナガレを風呂に誘い一緒に行くことにした。


ナガレは人型での体の洗いかたは解るはずもなく、教えながら洗ってあげることにした。


一通り洗い終わり、3人で湯に浸かり、洗っていた感触を思い出していた。


あの双丘は揉んでるだけで、落ち着くな。


あたしだけが揉める特権は最高だ!


「ナガレ、今後も一緒に入るぞ、あたしが洗ってやるからな」


「ああ頼む、あれは気持ちがいい」


「くぅーん」


「もちろん、アカもだ」


今後も一緒に入る約束をして、風呂を出て部屋へ向かった。


部屋に戻ったあたしらは、昨日と同じ配置で各々眠りに就いたのだったが、次の日の朝、あたしは体に重さを感じながら起きることになった。

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