第8話 討伐前夜の相談
冒険者ギルドでの用事を終わらせ、受付嬢のアンリに、この世界の色々な種族を教えてもらい、あたしはランドー商会の前にいた。
思ったより遅くなっちまったな。ギルドに着いた時はまだ昼過ぎくらいだったのにな、もう日が暮れちまいそうだ。
「いらっしゃいませ」
「あぁ、客じゃないんだ。シビルさんいっかな?」
「······!シノブ様ですね。大変失礼しました。代表からは話は伺っております。ご案内しますので、着いてきてください」
店番をしていた店員は、他の店員と変わってもらい、あたしを店の裏側にあるシビルの邸宅に案内してくれた。
「わりぃな。仕事中なのに案内までさせちまって」
「お気になさらないで下さい。これも仕事の内ですし、シノブ様は代表のお客様で、魔物から助けていただいた恩人と伺っております」
話をしてる間にシビルの邸宅に到着した。
うおぉ、でけぇ!こりゃ、1人って言っていたが、絶対ぇ使用人とかいっぞ。
店員は微笑し中に入り、階段を上り手前の部屋で止まった。
「ここがシノブ様が、お使われる客室になります」
あたしはドアを開けて中を確かめた。
六畳以上の部屋は初めてだな。ここは倍くらいか?
「次に応接室にご案内します」
2人は1階に下り応接室に入った。
「代表にご到着の知らせをして参りますので、こちらで少々お待ちください、失礼します」
店員は、お菓子とコーヒーを用意してから、部屋を出ていった。
あたしは、ソファーに『ボフッ』とだらけきった様子で腰掛け、天井を見上げてため息をつき、今後についてを考え始めた。
一旦落ち着けたな、この世界での最終目的は、時空魔法の【ゲート】と【テレポート】を覚えることだったな。
まずこの国の王都を目指し情報収集、見つからなければ、各国を目指すと。
『はぁ~』早くあやめに会いてぇな~。
コンコン
考えながらだらけていると、ノックの音がして、シビルが入ってきた。
「シノブさん、お疲れ様でした。大分遅かったご様子でしたが何かありましたか?」
あたしは、オーク討伐隊に加わったこと、模擬戦をしたことの話をした。
「では、明日に備えて私の方で、色々と準備をしておきますので、シノブさんはお風呂と夕食にしてしまいましょう」
先ほどの、店員が入ってきて、あたしはダイニングと風呂場に案内された。
「では、シノブ様はお風呂から上がりましたら、お部屋でお待ちください。夕食ができましたら、お呼びに参ります」
「あいよ」
あたしは服を脱ぎ、軽く体を洗い湯船に浸かった。
ふぃ~······それにしても、改めてこの体を見たが、体型とかは全く変わってないが、古傷やシミとかが無くなってんな。
すげぇ、肌なんかツヤとハリがあって、スベスベになってるしよ。
髪のモサッとしたのが、白寄りの銀髪でストレートのツヤツヤときたよ。あやめに会ったら殴られるかもな。
あたしは、お風呂を満喫し準備されていた服を着て、部屋に戻り、ベットにダイブし、少し眠ることにした。
コンコン
『シノブ様』
どのくらい経ったのか、誰かの呼ぶ声で、少しづつ意識が浮上してきた。
コンコン
『失礼します』
ガチャリ
ドアの開く音と同時に目が覚めた。
「お休みでしたか?」
あぁ······ん?ここは何処だ?
「夕食の支度ができました。ダイニングの方へお越しください」
あぁ······そうか、あたしは異世界に。
「あいよ。今行くよ」
呼びにきてくれた、店員は、お辞儀をして部屋を出ていった。
そうだった、転生したんだったな。死んでから色々ありすぎて、寝ちまってたか。
あたしは身だしなみを整えて、ダイニングに向かった。
それにしても、ここは広いな、前のあたしなら迷ったな。
今は記憶力が上がってる気がするな。
ダイニングに入り、シビルと店員は待っていてくれた。
あたしは用意されていた所へ座った。
「すまん、遅くなっちまったか?」
「いえ、そんなことはありませんよ。シノブさん食事の前に、彼女の紹介をしますね。彼女はお店の店長兼、この屋敷の使用人をしてくれているシルです」
「只今、ご紹介ありました。シルと申します、以後よろしくお願いいたします」
「おう、よろしくな」
「では、料理をお持ちしますね」
恙無く料理を食し終えた。
ふぅ、この世界の料理もなかなか旨いもんだな。
でもやっぱ、米がないのがなぁ、物足りねぇ。
「ごちそうさん、旨かったよ」
「お口に合って良かったです。それでは飲み物をお出しします。シノブ様は紅茶とコーヒー、どちらにいたしますか?」
「コーヒーで」
「かしこまりました」
3人は飲み物を飲み一息つき、シビルが『あれ持ってきて』とシルに言い、明日のことを話し出した。
「シノブさん、明日必要なものは準備できました。シルに頼んだので、こちらにお持ちしますね」
早いな、流石商人だ。シビルには【収納】のこと教えといたほうが、色々と良いかもしれねぇな。
「わりぃな。ついでにシビルさんに頼みがあんだけどいいか?」
「勿論です。私にできることなら、何なりと協力しますよ」
シビルは満面の笑顔で即答した。
「そっか、なら今回の騒動が終わったら、旅に出る準備をやろうと思ってよ。手伝ってくれねぇか?正直何を揃えればいいか、わかんなくてよ」
ちっと図々しかったか?
と思っていた時、シルが登山で使うようなリュックとウエストポーチを持ってきた。
「是非とも手伝わせてください。シルも戻ってきましたし、簡単に説明しますね」
シルはリュックとウエストポーチをテーブルに置き、シビルは中身を説明しだした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ウエストポーチの内容
ポーション×3
ハイポーション×2
毒消しポーション×2
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「今回、討伐がメインで場所も把握されているようなので、リュックは剥ぎ取った物の運び用で用意しました。あとこちらが、剥ぎ取りなどに使うナイフですね」
「こっちのポーチに入ってるのはなんだ?」
あたしの質問にシルがポーチの中身を教えてくれた。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
ポーション
:切り傷などの軽いキズを治す。
ハイポーション
:欠損以外のキズを治す。
毒消しポーション
:毒を中和する
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
「ポーションと毒消しポーションは、飲んでいただければ大丈夫です。但しハイポーションの方は使用の際、傷口が深い場合に使うものなので、半分ほど傷口にかけてから飲んでいただければ大丈夫です」
あたしはお礼を言い、まだ頼みごとを言っていないことに気づき、シビルに話した。
「シビルさん、まだ頼みごと言ってなかったんだが、今言ってもいいか?」
「確かにまだ伺っていませんでしたね」
「あたしさ、【収納】が使えんだよ。さっきも言ったが、旅をするのに、何を揃えて良いかさっぱりわからん。時間は気にしねぇから、揃えてもらえねぇか?」
シビルとシルは驚いたあと互いに頷きあった。
「シノブさん、余り人前では【収納】のことを言ったり使ったりしないようにしてください。」
「なぜだ?」
「そうですね、例えば我々商人は喉から手が出るほど欲しいスキルです。際限なくとは言わなくても品物を簡単に運べますし、冒険者も同じく、討伐した魔物の素材を多く持ち帰れます」
確かにな、商人はそれだけで、かなり稼げるもんな。冒険者の場合も、それで飯食ってんもんな。
「特に危険なのは、貴族に知られた場合ですね。多くの貴族はシノブさんを自分のもとに置こうとします。最悪の場合は、冤罪で奴隷に落としてでも、手に入れようとするでしょう」
あたしは『そこまでか』と困惑した。
この世界は奴隷制度あんのかよ······面倒だな。
「ですので使う際は、今日渡したバックをマジックバックと装いそこから出してるように見せかけ下さい」
「そんなものがあるのか?」
「大体、荷馬車2台分納めるくらいのバックなら高値ですが、お店で売っています。私のお店でも1台分、納めるバックなら販売しています。明日もし使うのであれば、私が個人でレンタルした事にします」
「マジで、色々わりぃな」
シビルは『恩人にはこれでも足りませんよ。』と言い、今日は話を終え眠ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます