第10話 人と人を繋ぐ旅

翌朝、完成した橋を渡ると、視界の先に広がるのは小さな集落だった。 雨上がりの空気は澄み、屋根から滴る水が陽光に輝いている。


村人たちは驚いたように隊商を迎えた。 「橋が直ったのか……!これで村も助かる」


ドワーフたちは誇らしげに槌を掲げ、バンデは豪快に笑った。 「俺たちの力で繋いだ道だ!」


紗代は少し照れながらも、村人に果物を差し出した。 「ほんの少しですが……お礼に」


村人は笑顔で受け取り、仲間たちを温かく迎え入れた。 焚き火の周りでは子どもたちがぽぷらんの歌に合わせて踊り、アリシアは薬草の知識を分け与え、エマは静かに弓を見せて村人の興味を引いた。


アレクセイは村の広場を見渡し、深く息をついた。 「橋を直したのは俺たちのためだけじゃない。こうして人の暮らしを支えることにもなる」


紗代は胸の奥で温かさを感じた。 商人の旅は、荷を運ぶだけじゃない。人と人を繋ぐことでもあるんだ……

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