【完結】おねえちゃんは、ランドフィクサー ~大地の修理屋さん~

サアロフィア

第1話 神様にもらったチカラで! ランドフィクサー見参

「形があるものは必ず壊れる。それならば、せめて、こわれる時と場所くらいは選ばせて欲しいものだ」

ランドブレイカーは、そう願っていた。


「こわれたものがあれば直すわ。みんなが幸せになれるように。神様にもらったチカラで」

ランドフィクサーは、魔法のようなチカラで、困った人たちを助けると誓っていた。




「わたし、神原こと美じんばら ことみは高校1年生。

 正義のヒロイン、ランドフィクサー ~大地の修理屋さん~ とは、わたしのことです。


 自己紹介として、わたしの名前について、説明するね。

 こと美という名前は、お父さんが何年もかけて考えてくれた素敵な意味が込められているの。


【こと】の意味


ことを正しくることが出来ます様に!


ことことしさを身に付けられます様に!


そんな願いを込めて!!


こと

(平仮名の画数最良)



 そして、わたしには、中学1年生の妹、アユ美がいる。


【アユ】の意味

       

されて、快で、たされた日々を送れますように


共に歩みアユミ続ける方に、早く巡り合えます様に!


そんな願いを込めて!!


アユ

(片仮名の画数最良)



『名前は、子どもに贈る最初の贈り物で一生使うものだから、親は、子どもに十分な説明をするべきだ』と、お父さんは力強く語っていた。


 2つの意味を込めて、韻を踏んだ名前を考えたことから始まって、画数診断の結果をプリントアウトしたものまで見せられて、過剰な愛情を感じて、もうお腹いっぱいだった。


 お母さんに聞いたら、この命名を拒否したら、腹を切りそうなくらい真剣な顔をしていたから、『素敵な名前を考えてくれて、ありがとう』と笑顔を見せるしかないと覚悟を決めたそうだ。


 妹のアユ美のアユがカタカナの理由は、私と同じ運勢にするためだそうだ。


 どんなに平等に子供を愛そうとしても必ず差が出るから、せめて名前だけでも同じ熱量の愛情を届けたいとのことだった。


 学校の眠たい授業と同じ感じがしたけれど、自分自身に向けられた愛情だから眠ってはならないと必死に眠気に耐えていたことを思い出す。


 二度と聞かないようにしたい。ぜいたくな悩みだと知ってしまった今でも、その気持ちは変わらない。




 ある土曜日の朝、ご飯を食べながらニュースを見ていると、昨日の深夜に、トンネルが壊れて通れなくなったそうだ。


「早く直さないと、生活ができなくて困る人たちが出てくるわ」


 わたしは急いで朝ごはんを食べて、トンネルを直しに行こうと考えて、頭がいっぱいになった。


 ニュース解説者は、この事故について、しんみりとした表情で言っていた。


「光元国の建築技術が優れているとは言え、50年前の合唱時代に造られたから寿命が来た。市町村の予算不足により、毎年するべきメンテナンスができないから、通行禁止にされていた。しかし、生活に必要なトンネルだったから、通行禁止の立て札を無視して使用されていた。誰も通らない深夜にトンネルが崩れたことは、不幸中の幸いだった」


 しかし、わたしの右の耳から左の耳に抜けて、わたしの頭には入らなかった。


 わたし、神原こと美じんばら ことみは、家の小さな庭であたりを見渡して、誰もいないことを確認した。


 そして、青い大空に両手のひらを広げて、声を出した。


「Peace for this land この大地のための平和を」


 わたしの上着とスラックスが光の粒子に変換されて消えて、スポーツブラとスポーツパンツだけの姿になった。そして、光の粒子が並び方を変えて、わたしの新しい衣服になった。それも動きやすい戦闘服でデザインも素敵だった。


「ランドフィクサー ~大地の修理屋さん~ 見参!」


 わたしは神様から大地を修理するチカラを分け与えられた正義の女の子。


「さあ、現場まで飛んでいくわ」

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