第3話
宍戸と絶品料理を口にしてかなり興奮していた宍戸を落ち着かせてやっとの思いで寮の部屋に入る。
「豪華すぎんだろ……」
高級ホテルのような部屋に思わず言葉が出てしまう。見たところ相部屋という訳ではなく完全な一人部屋のようでこんな対応をされるほど何かを成し遂げたとは思えないので少し、居心地が悪い。
持ってきていた荷物が運ばれており簡単に荷ほどきを終わらせて部屋着に着替える。この部屋に比べたら質素な服だが見ている人がいるわけではないので気にしないことにする。スマホが振動し開いてみると先ほど連絡先を交換した宍戸からで内容はやっぱりこの部屋の事で彼も驚いているらしい。
「そういえば確認しとかなきゃだな」
そう言って取り出したのはのは今回のダンジョン探索で得た成果でダンジョン内ではモンスターを警戒しなければいけなかったのであまり詳しく見れていなかったので学校専用のアプリでこの魔石でどれだけのものと交換されるのか見てみよう。
魔石にはランクが存在しており一番低いGからSまで存在しており第一階層の物は最低ランクのGランクであり学校では500円で買い取ってくれる。ダンジョンが当たり前となった世界において魔石の重要性は電気と同じくらいで今では魔石を動力に動いている機会も存在しており魔石を扱う魔石技師という職業も存在している。一番低いGランクでも使い道はあり今回の探索で手に入れたのは20個ほどであり全部交換すれば一万ほどだが探索者というのは金のかかる職業でこの程度の金では装備も新調できない。
「召喚魔法のレベルが上がってたよな」
新たにモンスターは召喚できないようだが召喚可能リストに新たなモンスターが追加されている。
フェアリーNew!
レベル1
ステータス
筋力E
体力E
敏捷C
魔力B
スキル
浮遊、魔力抵抗、光魔法
「面白いな」
見るからに後衛と言ったステータスで支援を得意とする光魔法を持っているのもポイントが高い。次の召喚モンスターはこの子だなと思いながらステータス画面を閉じてベットに倒れこむ。
憧れの探索者になるためにこの学校に入学していきなりダンジョン探索を行い命のやり取りをすることになり思ったりも疲れてしまっているようで自覚すると疲れがどっと出てきて瞼が重い。
「まだ、風呂に入ってないのに」
そう呟くと瞼が落ちる。本当に激動な一日だった。
危うく遅刻しそうになったが何とか間に合い席に着くと同じくらいに宍戸も教室に入っていた似たような人もいるんだなと思いながら直ぐに教師が来て授業が始まる。
探索育成高校の授業は他の高校のように国語や数学をやるのはなく全て探索者になるための授業であり探索者として覚えるべき法律や重要事項など時には現役の探索者である教師が自身の実体験を交えて教えてくれる。どれもがこれから探索者をやっていく上で重要なことであり金言と言ってもいい一言一句聞き逃さないようにと神経を研ぎ澄ませる。
授業が終わり昼休みとなり多くのクラスメイトが昼食を食べようと教室を出ていく中、命はノートに内容を纏めている。どれも重要なことでありちゃんと覚えられるように脳に直接覚えこませないと。
「授業、難しすぎんだろー」
「でも為になる事ばっかりだ」
「そりゃ、そうだけどさ。飯行こうぜ、早く行かないと席埋まっちまう」
宍戸に誘われてノートを仕舞うと教室にまだ、残っている人がいるのに気付き見てみると命と同じようにノートを書いている獅子王の姿があった。
「誘っちゃう?」
「やめときなよ。あんまり話しかけてほしくなさそうだ」
「そんなことない」
軽口を叩きながら教室から出ようとしたのだがいつこっちに来たのか目の前に獅子王が立っている。もしかして聞かれてしまったのだろうか。彼女の口ぶりからは聞いていたとしか思えないもので彼女は二人に背を向けて教室の扉に手を掛ける。
「どうしたの?行かない?」
食堂は昼食時だからかかなり盛況で多くの生徒でひしめいており少し出遅れただけでこれなのだから溜まったものではない。食券を買って並び、人の波をかき分けてやっとの思いで席を見つけることが出来た。
宍戸は本日おすすめのハンバーグミックス定食で命は日替わりのから揚げ定食。獅子王は豪華にうな重定食で定食の中でもかなり高価なもので学生には中々、手が出しにくい代物だ。
「いただきます」
それぞれ定食を食べ始める。騒がしい喧騒の中、食べ進めてある程度、食べ終わるとお調子者の宍戸が話始める。
「二人はもう、部活動とか決めたのか?」
「いや、まだだな」
「決めてない」
探索者育成高校は他の高校のように部活動が存在しているが探索者の学校ということもありあるのは剣術部や槍術部といった戦闘系のものから錬金術部といった生産系のものまで探索者の為の部活であり中には有名OBを排出して有名となっている部活も存在していて剣術部と魔法部が双璧を成している。
「俺、斧使うからさ、斧術部か戦士部か迷ってるんだよなー。獅子王さんは剣術部?」
「誘われてはいる」
「すごいじゃん!」
剣術部は獅子王誠や多くの有名探索者を排出した部活でありそんな場所からスカウトが来るのはとても名誉なことだ。しかし、さっき彼女は決めていないと言っていて入るかどうかは決めていないのかもしれない。
「柏崎は?魔法部に入ったりすんのか?」
「どうだろ。ちょっと系統が違う感じだからね」
召喚魔法を扱う命にとって安直に魔法部に入るというのは違う気がしてメインウエポンとして土魔法もあるがひとまずは独学でやってみたいという気持ちがある。そうこう話していると昼休みの時間も刻一刻と終わりに近づいていて三人は急いで食事を終えて教室に戻る。
午後の授業を終えて今日はダンジョンに潜ろうかなと考えて校舎から出るとそこには多くの生徒でひしめいていた。
「新入生歓迎でーす」
「一緒に頑張ってみませんか!」
校門の前には多くの先輩らしい生徒たちが集まっており新入部員の勧誘を行っている様子だ。規模が大きいのからみると剣術部と魔法部がかなり幅を利かせている様子で彼らは余裕な様子でその他の部活は新入部員を集めようと必死な様子で勧誘にも熱が入っている様子。
「君が樋口君だね!話は聞いているよ、是非とも魔法部に!」
「何言ってやがる!彼女は俺たち神官部がいいに決まってるだろ!」
「こ、困ります~」
多くの先輩たちに囲まれているのはクラスメイトである樋口吉良でゆるふわといった感じの小柄な茶髪の守ってあげたいといった感じの少女で彼女の周りには多くの生徒が殺到しておりそういえば強力な回復魔法を使えるのだと宍戸から聞いたことがありそんな有能株を自分の部に引き入れようと必死になっている。
物語の主人公ならば困っている彼女を見過ごすことが出来ず先輩たちをかき分けて彼女を助けるのだろうが生憎と命は喋ったことのないクラスメイトの為にそんな殊勝な事が出来るほどお人好しではなく見て見ぬふりをすることにする。あそこにいるのが彼女ではなく獅子王だったのなら行動は違ったかもしれないが。
「さて、行くか」
「カタカタ」
「キー!」
アインとブランを召喚しローブに着替えて手には杖を握りダンジョンに足を踏み入れる。既に勝手知ったる場所でありあっという間に第一階層の最奥へと辿り着く。
《レベルアップ!スキルレベルがアップしました。召喚モンスターのレベルがアップしました》
柏崎命
レベル7→8
スキル
召喚魔法7→8、土魔法6→7、鑑定3→4、連携4→5、指揮3→4
アイン
レベル6→7
スキル
剣術、盾術、闇属性、物理抵抗、強撃New!
ブラン
レベル4→5
スキル
飛翔、爪撃、偵察、強襲New!
獅子王とゴブリンロードの姿を見て自分ではまだ奴と戦うことは難しいと思ったが道中でレベルアップしアイン達も新たなスキルを手に入れて2つとも強力な一撃を与えるというものでこれならばゴブリンロードにも対抗することが出来る。それに加えて。
「サモン!」
「フリィー」
フラウ
レベル1
ステータス
筋力E
体力E
敏捷C
魔力B
スキル
浮遊、魔力抵抗、光魔法
女性を意味する名前を付けられた小さな妖精はその小さな翼で命の周りを飛び回り肩に乗る。支援役のフラウを召喚したことで前衛であるアインと遊撃役であるブランを支援することが出来て戦い方が変わるだろう。
「フリィー!」
フラウが手を上げて光の粒子がアインとブランを包む。光魔法の1つであるブレッシングであり短い時間だが対象を強化する効果がありボス戦には最適な魔法だろう。
「さぁ、行くぞ!」
重厚な扉を開け放つとその中央には緑の体色をした筋骨隆々の巨人がおり目の前のモンスターが最弱として知られるゴブリンの王だとは思えない威容で獅子王はこんなのをたった一人で戦ってたのか。アイン達がいなければ逃げ出したいくらいだ。
「アース・シェイク!」
「ギャ!」
土魔法が7となり取得した中級魔法の1つでありその効果は対象の地面を揺らすという地味なものだがそれは戦いにおいてとても重要な働きをしてくれるもので揺れる足場で踏ん張ることは難しいからだ。その隙を逃すことなくブランは疾駆しスキルによって強化された爪撃はゴブリンロードの肉を抉る。
「ギャギャ!」
苦悶の表情を浮かべるゴブリンロードに追撃としてロングソードを装備しアース・シェイクの範囲外からアインが強力な一撃をお見舞いする。フラウのブレッシングにスキルである強撃、命の指揮の効果が加わりアインが振るう刃はゴブリンロードの片腕を切り落とす。
「ギャー!」
ゴブリンロードの悲痛の叫びがボス部屋に轟き、ダメ押しにとフラウのホーリー・ボールがゴブリンロードの体力を削っていき何もできないゴブリンロードは苦しみ悶えるしかなく命はアース・シェイクを解除して詠唱を開始する。
「ギャ!」
揺れが解除されて動けるようになったゴブリンロードはその長い手足でアインを攻撃するがアインは盾で十分ガードしアインに気がとられている隙をブランが攻撃を行い、今度は無警戒だった右目を奪うことに成功し右目を失って平衡感覚が狂ったゴブリンロードは足をおぼつかせる。
「アース・ランス」
残りの魔力の全てを注ぎ、形成された石の槍は魔法職である命では持てないほどの大きさでありそれを空中に維持するのにもかなりの魔力が必要とされてゴブリンロードは言い知れぬ危機感を感じてそれを打たせまいと命の元に向かおうとするがアインがそれを妨害する。
右目を失ったことで足元が覚束ないゴブリンロードに石の槍が放たれて腹部を貫通する。明らかな致命傷でゴブリンロードの体は粒子となり大きな魔石とアイテムが残される。
《レベルアップ!スキルレベルがアップしました。召喚モンスターのレベルがアップしました》
「よし!」
ステータス通知が出たということはゴブリンロードを完全に討伐したということで命はガッツポーズする。アイン達も命の元に集まって喜びを分かち合う。勝利の余韻に浸りながら確かな手ごたえを感じステータス画面を見る。
柏崎命
レベル8→10
スキル
召喚魔法8→10、土魔法7→9、鑑定4、連携5→7、指揮4→6、魔法強化1New!
【魔法強化】
魔法の威力、範囲を強化する
アイン
レベル7→9
ブラン
レベル5→7
スキル
飛翔、爪撃、偵察、強撃、危機感知New!
フラウ
レベル1→3
流石はボス。思った以上の成長ぶりに驚かされる。ボス部屋の中央に行きドロップしたアイテムを拾い上げる。
『魔石』ランクD
『ゴブリンロードのベルト』ランクD
攻撃力30 防御力20 耐久度50
獅子王が倒した時にはドロップしていなかったアイテムであり所謂、レアドロップというものだろう。この階層のアイテムとしては破格の性能で有難く頂戴しておく。
アイン達も随分、強化されており召喚魔法がレベルアップしたことで新たにモンスターを召喚できるようになっており更に戦力を強化できるようになったが最後の一撃で魔力がすっからかんで命は次の階層に向かう階段を見つけその横にあるポータルに向かう。
階層をクリアしたものが使えるというダンジョンの入口に転移できるというポータルでこれから入口まで登っていくのは流石に面倒で使わせてもらう。
「にしても良く勝てたな」
勝つための準備はしたつもりだがこんなにも完勝できるとは思っておらず自分が思っているよりも強くなっているのか知れない。どんどんと強くなっていく自分が楽しみでこれからもダンジョンに潜っていこうと思う。
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