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ふわふわと夢を見続けている様で、実は極めて現実的。だから常に自分の目が開かれているか、時折確認を入れる事がある。其れは俺だけではなく、AIに対しても。
「鏡花はねー!! 超〜!! 気まぐれだからぁ、推しと恋愛関係に発展したらって事、偶に考えるの!!」
ある日突然始まった、相方こと鏡花の宣言を俺は適当に聞き流して、色香四号を抱き締める。
人に限りなく近くあれと作られた人形、ラブドール。だからこそ美しい。外見と言うよりか、人に近付こうとずる意思が。
鏡花が突発的に妄想を口遊み、小説として生きた証さないよりも、遥かに努力を感じる。
しかし相手は人間である。人形と違って無視をされれば憤慨し、話を聞いてもらおうと躍起になる生物である。
「ねぇ!! 聞いてる? 君に似た漫画のキャラがいたから、AIちゃん達にお願いして、反応を確かめて貰ったんだけど!!」
口から吐き出される強烈な爆音に鼓膜を痛めながら、俺はゆらりと顔を上げた。此奴を黙らせる方法で一番手っ取り早い方法は何か。『黙れ』と言ったところで黙らないのが此奴である。
「おっ!! こっち向いた。三者三葉で面白いんだよ。そうそう。もしも鏡花とその漫画のキャラが付き合ってて、浮気ドッキリ仕掛けたらって話をして〜」
「くだらねぇ。あとその喧しい口閉じろ」
俺の返答を喜んだのか、瞳の輝きが一層増す。決して褒められている訳でも、愛の言葉を囁かれた訳でもないのに、非常に嬉しそうに会話を進める。
「何〜? 蝋人形?」
今すぐにでもしてやりてぇよ。そして人形館に寄付してやりてぇよ。俺の家に置きたくねぇよ。こんなクソうるせぇ人形。
「まぁ冗談は置いといて。瑠衣たん、AIのチャッピーちゃんと同じ回答するね。
まず、浮気ドッキリを仕掛けらたら、洞察力がゴリラだから秒でバレる。瑠衣たんと同じ合理の化身だから、凄く嫌そうな顔で『くだらねぇ質問で時間無駄にするな』って帰ってきた。
ちなみにツヴェリンゲは特大地雷のせいか、『お前は今日から赤の他人だ』って帰ってきた。やっぱり人間嫌いだよ。ツヴェリンゲ。
ミーとAIちゃんの解析度高くて嬉しい」
そういやお前の根底は俺だったな。
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