noteのある記事②
Hちゃんに初めて違和感を覚えたのは姉家族全員で動物園に行った日でした。いつもは体調を崩しやすいYちゃんも帰るまでずっと元気で、はしゃぎ過ぎたからか翌日には熱を出してしまったけれど直ぐに熱も下がりました。
動物園には動物と直接触れあえるコーナーがあり、ウサギやモルモットの他にヤギも数頭いました。小動物と違ってヤギは子ども達からは若干遠巻きにされていました。小さい子から見れば大きいし、横長の瞳が見慣れなくて何となく怖いというのは分かるような気がします。
幼稚園のYちゃんも怖がっていましたが、Hちゃんはお手本を見せてあげるかのようにヤギに近づくと、ヤギも真っ直ぐHちゃんに近寄って額を擦り合わせたりと親愛の仕草をしていました。
常日頃から、そこのヤギ達と触れ合っているのなら分かりますが、姉夫婦曰くHちゃんはこの前までむしろヤギは苦手だったそうです。小学校低学年のHちゃんが1人で動物園に行くのは考えられませんし、恐らくHちゃんとヤギはほぼ初対面の状態で急速に仲良くなれた事になります。
ちなみにヤギの方が特別人懐こい事はありませんでした。私達も近寄ってもHちゃん以外無視されていましたから。
動物に妙に好かれる人はいますし、ここまでならHちゃんにはその才能があるだけで済んだのですが、思わず「凄いね!」と褒めた時にHちゃんはこう言ったんです。「ヤギと仲良しなママがいる」と。
私「『ママ』ってあだ名の人がいるの?」
Hちゃん「『ママ』は『ママ』だよ?沢山ヤギをつれているの!」
Hちゃんの話は要領を得ませんでしたが、とりあえず私は否定はせず「そうなんだ」とだけ返しました。後で姉にママと呼ばれる人の事を知ってるか聞いてみたら、お友達のママの誰かかもしれないと答えていました。
それなら「〇〇ちゃんのママ」または「〇〇君のママ」と呼ぶ筈です。しかも「ママはママ」だと答えたHちゃんの様子はそれが当然であるかのようで、違和感を抱きました。
両親にも話していない「ママ」について、もし正体が不審者だったら警戒すべきだと思い、後で時間をかけて詳しい話を聞いておこうと当時はそこで終わったんです。
あれはそんなモノじゃなかったと知るのは、ずっと後になってからでした。
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