第3話 女神の目的

理解してしまうと負けは覆らない

ハヤトが浮かべる暗い顔を見てナルガは思う

自軍を魅せしめるのがファースト2、ならファースト1は何なのか

それはこの世界の偵察は終わっており我々の脅威にならないと現すこと

深く考えない者は俺たちの知らない機械技術や圧倒的数をみて恐怖するだろう

しかし相手側つまり魔王軍の立場になって考えると見知らぬ惑星に数百と自軍を現すのは自殺行為に等しい

魔王軍と同等以上を持っていいる惑星で同じことをすれば戦線布告とみられる可能性が高い、なら魔王軍がまずはじめにすることは円を出し偵察部隊を少数送り世界のレベルを知ることだろう、その偵察兵を俺たちは見ていない。

つまり気づかぬうちにすべてを知られていたということ

世界の技術レベル、世界人口、各国を治める王の名などすべてを把握している可能性が高い

考えれば考えるほど俺たちに勝ち目はない

なら俺がやるべきことは決まっていいる、大将ガーブル・アクシズの機嫌を損ねないよう穏便に話し合い、この世界を守ること。まさに俺の分岐点


ナルガは格上の存在を知らない、すべてにおいて圧勝していた。そんな者がはじめて格上と相対する。なのにミスれば世界消滅ときた、その非現実感にナルガは心からワクワクを感じていた


「この惑星にはなかなか鋭い人がいるんですね、まぁ最低限ですけど」


突如何もない空間から女性のような声が聞こえる

ハヤトは即座にナルガの前に立ち鞘から剣抜きドア側を警戒する

今まで経験したことがない声が脳に直接語りかけられたような感覚を持ち、ナルガは警戒心を強めハヤトは違ってくれと願いながら声の主に問う


「…アカリさんですか?」


「正解です」


正解です、確かにそう聞こえハヤトは殺気をむき出しにアカリの姿をとらえようと周りを見渡す、王室内に姿はないのにドアよりも室内を警戒したほうがいいと本能が告げていた


「無駄ですよ、あなたたちは詰みです」


背後から聞こえる声

ハヤトはすぐさま振り返るがアカリの姿をとらえた瞬間、殺気が消えていく

アカリは椅子に座るナルガの背後から右手を肩に左手にはナイフを持ちナルガの首筋に当てていた


「私は北王ナルガ・ハンヤファと交渉に来ました、部外者は退室をお願いします」


ハヤトは少し緩んでいたとはいえ女性の声が聞こえた瞬間から警戒心を解かず全てを見ていたつもりだった、にもかかわらずアカリはナルガをいつでも殺せる状態おり、こちらは何もできない状態となっていた。ハヤトはすべてを諦め鞘に剣を戻す

鞘に剣を戻すハヤトの顔はナルガすら見たことがない怒りや無力感、悲しみなど負の感情をすべてを含んだような顔をしていた


「…私たちじゃ歯も立たない相手でしたね、北王さま私は席を外します。どうかご武運を」


ハヤトは扉に向かって歩き出し振り返ることなく王室を後にした


「この状態で交渉か?」


ナルガは笑みを浮かべ問う

ハヤトは退室したがアカリはナルガの首筋にナイフを当てたままいた


「いいえ、いま離します」


アカリはナイフを腰に戻しナルガの正面の椅子に腰を下ろす


「見事だ、俺をここまで追い詰めたのはお前が初めてだ」


「技術が違いますからね、雑談はいいです。本題に入りましょう」


「ふっ、そうだな」


ナルガは相手を観察する

白い鎧で完全武装しているが鎧の形状は女、身長は160から165

顔は鎧で見えないが声色的にまだ若い、隊長と呼ばれるからには歳老いていると考えていたが検討違いだったようだ

腰にはL字の形をしたものと先ほどのナイフがかけられている

警戒すべきはナイフよりL字のものか…


「ナルガさん考えていることすべて聞こえてきますよ」


「……思考が読めると?」


「ええ。私は交渉と温い言葉を使っていますがあなたたちに交渉の余地はありません、私が言う条件をのんで生き残るか拒んで死ぬかの2択です」


「…聞こうか」


「では、私たちの目的から話していきましょうか」


ここでアカリは解除と小声で言った

言葉と同時に鎧はどこかに消え、黒色の軍服に身を包んだ姿を現す

ナルガの予想どうりアカリの顔は20から30の容貌をしていた


「私たち女神殺害連邦は名前の通り女神の殺害に向け動いている組織です、主な目的はアレクくんから聞いていると思いますが200年後に女神が降臨してきます、その措置です」


「女神の目的は?」


アカリが言葉を停止したのでナルガが問う

アカリは大きく息を吐き答えた


「宇宙の1部消滅です。消滅されるのは人間のいる天体系、つまりここも200年後には消滅されます」


あまりにも規模が大きすぎる話

今まで星が1つ1つの惑星であることは認識していたがそこまで。

いくこともなければ考えることもない存在だったがアリカたちは惑星間を行きできさらには惑星を消滅させられる女神とも敵対するという


「女神は創造主の部下です、私たち人間の進化速度はどの生物よりもはやく、電気やガスを使うようになってから500年で惑星間を行き来できるようにまでなりました。さらに300年後には宇宙外に存在している創造主に気づき調査を行っていたところ女神たちにより妨害され私たち人類は創造主の敵として認識されました」


創造主という惑星を消滅させられる女神より地位が高い存在がおりそこに目をつけられたと

ではなぜ…


「はい、ではなぜすぐに女神が行動に移さないのかということですが」


…こちらの思考は完全に聞こえているな


「創造主にとって1年も200年もかわりありません、ですが女神にとっては違います。女神の主な目的は惑星を観察することです。そこにたまたま生まれたのが人間、高度な知能を持ち面白いことをしてくれる。女神は人間で遊び始めたのです。死んだ人間に人ならざる力を与え他の女神が観察する惑星に送り込み荒らす。これが流行し女神の関与は強くなってきました、このことが創造主にバレると女神は始末されることでしょう」


「……女神は思ったより抜けているのだな」


「はい、女神の関与はエスカレートしていき女神同等かそれ以上のちからを持つ人間を作り出したくらいですからね、そんな人間たちがいる惑星を滅ぼすのは至難。ならば能力を与えた人間たちが老衰するまで待つ、そう選択したようです」


つまり他の惑星にいる能力持ちが死ねば俺たちも死ぬと

実に身勝手だな

だがそうなると別の疑問も出てくる

我々のような能力持ちがいない世界はなぜ消滅させないのかという疑問


「はい、それは女神が関与した人間が多くどこに飛ばしたかもわかっておらずこの惑星にいることも考えて手を出してきていないのだと思います、あとこれは憶測ですけどこの惑星に本来人間は誕生しなかったんです。女神が人間を作るために惑星の軌道をハビタブルゾーンまでもっていき作った存在、女神が関与しすぎて生まれた人間ということです。そんなことが創造主にバレたら死では済みません、ですので200年後に人間を滅ぼして惑星の軌道を戻し消滅させるのだと思います」


なるほど、謎が解けたな人間に関与せず惑星ごと破壊はできるが破壊したあと創造主に軌道をいじっていたとバレたら女神は死よりも恐ろしいものが待っている

なにより能力者がいたら女神自身が死ぬかもしれないと

女神は考えなしに遊びすぎて立場がないのか


「はい、そうなります」


……口に出してないのに返事されると気が狂いそうになるな

まぁいい、これでこいつらがやりたいことの全貌が見えたな

全てを簡単に信じるのはかなり難しいが疑っていてもらちが明かない

こいつらがここに来た目的は人材の確保、能力持ち以外を脅威と見ていない女神に抵抗するために数でも勝負するということ

数と技術力、勝算があるかないかではなくやらなければ確実に負ける

ならば答えは1つしかない


「俺たち北国は全面的に協力する。俺から他国の王たちに全てを話そう、だからまだ俺の部下含め国民には話さないでほしい」


「はい、わかりました。ですがもう、国民に話すなというのは手遅れですね」


アカリは、目線をドアに向ける

聞き耳をたてているやつがいると現しているのだろう


「入れ」


ナガルが入室を命令した

それから数秒して扉がゆっくりと開かれる

扉が開かれ姿を現したのは見覚えのある青年だった






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