第2話 モティマー・スープ社クリスマス商戦企画台本

ダーリン(深呼吸しながら立ち上がる)

「それでは皆さん、本年度クリスマス商戦の企画をご説明いたしま――」


ボフッ! と紫色の煙。エンドラ登場。

エンドラ「まあまあダーリン。あなたの“説明”って、どうせ退屈で乾燥したトーストみたいなものよ。潤いゼロだわ。」


ダーリン(青ざめる)

「エ、エンドラ!ここは会社の会議室でして…どうか…どうか…!」


エンドラ(椅子に勝手に座り、脚を組む)

「心配しないでダーリン。あなたの企画がひどくても私が華やかにしてあげるわ。」


役員A(ヒソヒソ)

「また来たのか…あの“お義母さん”……」


シーン1:テーマ発表


ダーリン

「えー…テーマは、“心までポカポカ作戦”でございます。」


エンドラ(鼻で笑う)

「あなたが“ポカポカ”なんて言うと、余計に冷え込む気がするのは私だけかしら?氷河期の使者みたいな男だものねぇ。」


役員たち(ザワッ)

「(氷河期……? 企画より強い言葉だ…)」


ダーリンは動揺しつつもスライドを進める。


シーン2:CM案


ダーリン

「雪の夜、家族が――」


エンドラ

「あなたの演出だと雪ではなく“吹雪”よね。しかも家族がドアを開けた瞬間、台詞より先に“ヒュオオオオ”って風の音しかしなさそう。」


ダーリン(顔が引きつる)

「い、いえ今回は暖かな家庭を…!」


エンドラ

「ダーリンに“暖かい家庭”を語らせるなんて、ラクダにフィギュアスケートをさせるくらい無理があるわ。」


役員たち、笑っていいのかわからず沈黙。


シーン3:商品施策


ダーリン

「クリスマス限定缶とギフトセットを――」


エンドラ(遮る)

「ダーリン、あなたの“限定感”っていつも薄いのよ。まるで“特別に見える平凡”って感じ? あなた自身をよく表してるじゃない。」


役員B(思わず)

「た、確かにデザインはもっと攻めても…」


ダーリン、味方を失う。


シーン5:結末 ― 会議室カオス


ダーリン、ふらつきながらプレゼンを続けるが――

突然、エンドラが指を鳴らす。


ポンッ!

テーブルの上に巨大なスープ鍋が出現。

湯気がもうもうと広がり、会議室が湿気でムワッ。


エンドラ

「これくらいインパクトがなきゃダメよダーリン! さあ皆さん、試飲なさい!」


役員C

「ぎゃっ、床が滑る!」


役員D

「書類が全部スープまみれに!」


避難する社員たちの上に、クリスマス用缶がポロポロと降ってくる。


ダーリン(頭を抱える)

「エ、エンドラさああん!!」


エンドラ(満足げ)

「まあ、これぐらい騒がしいほうが記憶に残るでしょ? あなたのプレゼンより、

ずっとね!」


煙と笑い声を残し、エンドラは消える。

役員A(放心)

「……今年のキャンペーン、考え直すか。」


ダーリン(崩れ落ちる)

「サマンサぁ……助けてくれぇ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る