第2話 りくとママの大きなかぶ
寝る前。
ママが絵本をひらくと、りくがじっと見る。
「今日はね、おおきなカブのお話だよ。
みんなで協力して大きなカブを——」
「ママ、それは高齢者・児童・動物、全方位の労働投入ですか?」
「ちがうよ!?協力のお話なの!」
ママが読み進める。
「おじいさんがね、“よいしょ、よいしょ” って引っぱるんだけど、ひとりじゃ抜けないの」
「ははは、そりゃそうですよ。高齢者単独で巨大農作物は無謀です。リスク管理不足です」
「りく、寝る前にリスクとか言わないの」
ママは続ける。
「そこでおばあさんが来てね。ふたりで引っぱるの」
「共同作業開始ですね。
いわゆる“共同出資”」
「いや、出資じゃなくてカブを——」
「カブ(株)ですよね?」
「野菜の方!」
ママは絵本をめくる。
「それでも抜けないから、孫と犬と猫とネズミまで協力して——」
「それ、完全にNISAですね」
「なんでそうなるの!?」
「大きな“株”でも、みんなでちょっとずつお金出せば買えるでしょ。それが現代の協力モデルです」
「寝かしつけに現代金融持ち込まないの」
そして物語はクライマックス。
「うんとこしょ、どっこいしょ!みんなで力を合わせて、カブが抜けました!」
りくはうなずき、プロの顔。
「つまり、“分散投資は強い”ってことですね。
ママ、ぼくは理解しました」
「いや、ママは協力の話をしたかったんだけど……」
「協力=分散投資です。寝る前に良い学びが得られました」
「りく……。明日は普通の絵本にしよ?」
「承知しました。でもNISAの話なら続編も可——」
「寝る!!」
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