Medieval America "中世アメリカ"

第8話 中国系カリフォルニアの統一

　クビライ・カーン率いる元王朝が中国本土を席巻する中、宋皇族の生き残りの一族は、他の移民の群れと共に東へ逃れました。その後、政治的駆け引きと戦争が続きましたが、最終的には1334年にサンフランシスコの宋一族が勝利を収めました。統一されたカリフォルニアは自らを新生宋王朝と称し、様々な統合・中央集権化プロジェクトを開始しました。

　史実では「崖山（ガイサン）の戦い」（1279年、史実での宋の滅亡）で皇帝一家や忠臣たちは入水自殺した。

　宋カリフォルニアはハワイや他の中国諸島との交易は継続していましたが、外部勢力に対しては非常に警戒心が強く、交易路を厳重に警備し、領土を侵略する様々な先住民やポリネシア人集団と頻繁に小競り合いを起こしました。西暦1400年代初頭までに、宋カリフォルニアは台頭してきた明王朝との接触を開始したが、どちらの勢力も自らの継承権主張が弱まることを恐れて、相手を公式に承認する意思がないようであり、両国が艦隊の建設と貿易ルートの巡回を続けるにつれて緊張が高まっていった。

《　1. 「東宋帝国（Eastern Song Empire）」の成立と構造　》

・王朝名と首都

彼らは自らを正統な「大宋」と名乗り続けますが、歴史的には「東宋」や「扶桑宋（Fusang Song）」と呼ばれるでしょう。

首都となったサンフランシスコ（サンフランシスコ湾）は、天然の良港であり、防御に適しています。

・首都名： 「定京（Dingjing）」（「ここを定めの都とする」意）あるいは、史実の移民呼称を用いて**「金山（Jinshan）」。

湾の入り口（ゴールデンゲート）には、モンゴルの追撃や海賊を防ぐための巨大な砲台と水門が築かれます。

・「火薬帝国」としての進化

宋は火薬兵器（火槍、震天雷）を実用化していた王朝です。カリフォルニアには硝石や硫黄などの資源が豊富にあります。

モンゴルへの恐怖心から、彼らは火薬技術を異常なまでに発展させました。14世紀の時点で、サンフランシスコの城壁には強力な青銅砲が並び、先住民やポリネシア人の侵入を寄せ付けない「鉄壁の要塞国家」となっています。

・政治体制：軍事独裁的官僚制

「崖山」のトラウマを持つため、この亡命政権は極めて軍事色が強いです。文官（士大夫）よりも、海軍提督や将軍の発言権が強く、「常にモンゴル（あるいは外敵）の襲来に備える」という国是が社会を支配しています。

《　2. 「二つの中国」問題：明王朝との冷戦　》

　1400年代初頭の接触は、非常にスリリングです。中国本土ではモンゴル（元）が北へ追われ、漢民族の明（Ming）が成立しています。

・正統性の衝突（天命の争奪）

明の主張： 「元を追い払い、中華を回復したのは我々明である。宋の天命は尽きた。東の王は『朝貢国』として臣従せよ。」

・東宋の主張： 「我々は異民族（元）に屈しなかった不屈の宋である。明の皇帝（朱元璋の一族）は、どこの馬の骨とも知れぬ成り上がりではないか（朱元璋は貧農・僧侶出身）。伝国璽（皇帝の印章）はこちらにある。」

・鄭和（Zheng He）の大遠征

史実ではインド洋に向かった鄭和の宝船艦隊が、この世界では永楽帝の命を受け、「東の偽皇帝を服従させるため」に太平洋を渡ります。

・サンフランシスコ沖の対峙： 鄭和の巨大艦隊（宝船）と、東宋の火薬搭載艦隊（亀甲船のような装甲艦）が睨み合います。

結果： 全面戦争は共倒れになるため回避されますが、「互いに承認しない」という冷戦状態が確定します。明は「海禁政策」を強化して東宋との貿易を禁じ、東宋は独自の「太平洋経済圏」をブロック化します。

《　3. 先住民・ポリネシアとの関係：「華夷秩序」の適用　》

東宋は、外部勢力に対して非常に排他的で警戒心が強いとされています。

・万里の長城ならぬ「シエラの長城」

彼らは領土（カリフォルニアのセントラルバレー）を守るため、シエラネバダ山脈の峠に要塞線を築きます。

・冊封と同化

周辺の友好的な先住民部族には、「王」の称号を与えて緩衝地帯（藩屏）とします。しかし、反抗的な部族に対しては、宋代に発達した火器を用いて徹底的な掃討戦を行います。

　ポリネシア系のハワイ王国に対しても、東宋は「宗主国」として振る舞い、強力な海軍力で交易路を独占管理します。