p2: フレキシブル

ねえ君、横文字は好きかい? ……ああ、僕もさ。大っ嫌いだよ。


さて、ディスられがちな概念をディスったところで何も面白くない。ここはひとつ、擁護してみよう。

"flexible"の訳は、「融通がきく」とか「柔軟な」だ。用例としては、「フレキシブルタイム制」が最もメジャーだと思う。なにがフレクスィボゥだ。融通がきく、でいいじゃないか。日本語ガー……では、対訳してみよう。

「時間の融通がきく出退勤形態」

5分ほど単語パズルをするハメになった。意味としては通じるだろう。しかし、これが求人に書いてあったらどうだろう。鬱陶しい。一方で、「フレキシブルタイム制」!あたし朝弱いから助かるわー。縦文字も横文字も、結局は適材適所だ。


考えているうちに気付いたことがある。私が嫌いなのは横文字ではなく、横文字を話す他者なのだ。横文字がとりわけ用いられるビジネスシーンにおいて、会話の目的は、双方の合意だろう。だのに、節々に不明な意味を投げ込まれてしまうと、了解すべき事柄がひとつ増えてしまう。仕事を増やすなよな。

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