第2話 キャラメイクは性格が出るらしい


「何やってんだよ俺!」


 ゲームの入った袋を引っさげて部屋に帰ってきた俺は、自責の念に駆られていた。

 年上の美人に丸め込まれて変なゲーム買わされちゃったよ! しかもお金まで借りちゃったし!

 くそっ、男子高校生の純情を弄びやがって……いや俺が悪いんだけどさ。


「まぁでもMMORPGって有名なジャンルだし、本当に面白いのかも?」


 ただ提供元が変人だったので信頼度は半々だ。

 

「アンチクエストねぇ」


 袋からゲームを取り出しタイトルを読み上げる。そして裏面を見るとゲームのキャッチコピーが記載されていた。

 えーとなになに、『終わりのない自由な冒険』か。

 随分とまぁ壮大な言葉である。

 

「って、もうこんな時間!」


 中古ショップの帰り際、サツキと名乗った彼女から午後七時までにログインしとくようにと言われていたのだ。

 連絡先も無理やり交換させられたので、逃げることはできないのだろう。


「はぁ……。もっと気軽にゲームを始めたかった……」


 ため息をつきながら、俺はヘッドギアを装着して横になるのだった。


***


「おぉ、まずはキャラメイクってやつか」


 ゲームに入ると目の前にキャラクターメイクの画面が出現する。


「すげー、なんでも作れるじゃんこれ」


 俺はそのメイキングの自由度に舌を巻く。もはや弄れない箇所なんて無いのではないだろうか。

 サツキさんが出来ることが多すぎると言っていたが、キャラメイクから既にその雰囲気が出ている。

 キャラメイクが好きなプレイヤーはここで数時間、下手したら数日過ぎそうだな。


「うーむどうしようか。細かすぎて逆に困るなこれ……。お、見た目を反映ってのがある」


 取り敢えず押してみると、デフォルトアバターが一変。そこには美化された俺がいた。

 おぉカッコいい……。てか身長もそのままなの凄いな。

 おそらくヘッドギアからなんかすごい技術で自身のデータ化をしたんだろう。科学の力ってスゲー。


「うん、もうこれでいいや。普通に気に入ったし」


 初めてのゲームだからこそ、自分と似た見た目で楽しんでみたい。


「んで次は職業か。あれ、なんかこっちは少ないな」


 選択できる職場は『兵士』『狩人』『術士』『斥候』『治癒師』の五つだった。


 あぁそういえば初期職業が少ない代わりに、上位職業が豊富にあるって説明書に載ってたな。

 アンチクエストはゲーム内での行動やステータスによって派生先職業の選択肢が増えていくらしい。

 まぁここら辺はやってみなきゃ分からないよな。


「んー、どれにしようかな」


 それぞれに簡易的な説明文が載っているが、どれもシンプルな内容なので決定打に欠ける。やっぱり無難な兵士か?

 てかサツキさんは何の職業なのだろうか。もし二人で回復系役職とかだったら戦っていけるのかわからない。


「うーむ。じゃあ兵士か斥候かなぁ。響き的に斥候にするか」


 初めてのRPGで職業の良し悪しなんて分かるはずもない。こういうのは自分の感性に従うのみだ。


 斥候を選択すると、最後にプレイヤーネームの入力画面が出現する。


「カオルっと」


 名前を入力し、最終決定。


「って危ない! サツキさんからパスコード預かってたんだった!」


 俺はサツキさんから送られてきた謎のパスコードを入力する。

 最初のチャットで意味不明な英数字の羅列が送り付けられた時は恐怖を覚えたよ。普通『よろしく』とかだろと思ったが、あの人に普通は通用しないよね。


「よし今度こそ最終決定!」


 瞬間──自身が光の中へ吸い込まれるような感覚に襲われる。


 変な女性から強引に買わされた、はっきり言って期待していなかったゲーム。

 そもそも初めてのゲームだ。不安と緊張が一気に押し寄せてくる。

 でも──


「はは……! めっちゃワクワクする!」


 高鳴る鼓動を感じながら、俺は無意識に口を開いていた。


【小話】

アンクエの職業派生は無数に枝分かれしています。複雑すぎて運営も理解していない筆頭箇所です。

また運と実力が奇跡的に嚙み合えば、一回の上位派生で未発見の上位職になれることも……!?

それが強いとは限りませんが。

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