ありがとうを君に……

菅原 みやび

第1話 おはようを君へ

 何かが鳴いている声が聞こえてくる。

 俺は耳を澄まし、その声が何か確かめようとする。

 すると、か細い、まるで生まれたての赤ん坊のような声が近くから聞こえてくるではないか……。

 ああ、なるほど……。

 俺は一人納得し、寝ぼけ眼をゴシゴシと手でこする。

 白壁に掛けられた時計を見ると、ピッタリの朝7時。

 柔らかい白の羽毛布団を名残惜しくもなんとか跳ね除け、俺は起床する。

「シロおいで」

「ニャーン」

 チリンと銀色の鈴が鳴り、シロはとてとてと台所に向かう俺の後を追う。

 俺はタンスから猫の餌を取り出し、それをシロにやる。

「よしよし、ご褒美だ。美味いかシロ?」

「ニャーン!」

 目を細め、頷くシロ。

 この感じ、ご満悦のご様子。

 そう、この一連の作業は俺の毎朝の日課。

 目覚まし時計の代わりに飼い猫のシロが俺を起こし、そのお礼に俺は餌をやる。

 時間はいつもピッタリの7時、にゃんとも不思議なもんである。

 野良だったコイツを拾って、はや数年……。

「なあ、果たしてお前とのこの関係、いつまで続くんだろうな?」

 俺はシロが美味しそうに餌を食べているその姿を見ながら、思わず呟いてしまうのだった。

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