雪女と子供の事例 ―相互理解は大事―
栄養剤りぽべたん
起
最近、僕は生き物を飼い始めた。
前に猫を持って帰った時は「面倒見れないよね?」というお話を1時間以上に渡ってされて、最終的に元の場所に戻してきなさいと言われ、猫を戻したことがある。
【命に責任を持てるの?】
お母さんが言った、この言葉が決め手だったかもしれない。僕は、僕がちゃんとしないと拾ってきた子が可哀想な目にあうというのが怖くて、猫を拾った場所に戻した。
それからしばらくして、僕は学校の宿題をちゃんとしてないからと居残りで勉強をした帰り道に、また誰かが拾ってくれるのを期待した捨て生物をみた。
みてしまった。
それは猫とか犬とかの有名な愛玩動物ではなく、綺麗な`人形`だった。
なぜか学校からの帰り道に、犬猫が捨ててあるような段ボールに入って、`人形`は腕を抱きかかえ寒そうにしていた。
僕の腕くらいのサイズ、でも段ボールの中から上目遣いで僕に生きたいと訴えかけてきた目を無視できなかった。
家に持って帰ると、両親とも出かけているらしく、内緒で自分の部屋までこの`人形`を持ち込むことができた。
先日猫を持って帰った時に、あなたは飼い方も知らないでしょうと言われたので、今度はそんな事言わせないぞとパソコンで調べたところ、この子はどうやら`雪女`の幼体らしい。
今も僕がパソコンで調べているところを不安そうな目で見ている。
「大丈夫、僕が君を立派に育ててあげる。」
もちろんそんなことできるとも思っていない。僕は小学生の中学年だ。
でも、この子には今自信満々に言わないときっと不安だからと思って、僕は胸を張って言った。
すると彼女は、僕の言葉を理解しているのか、腕を振り上げ、全身で嬉しい、という表現をするじゃないか。
「お父さんはどうにでもなるけど、お母さんをどう説得するかなー…。」
まだ二人とも帰ってこない。僕はどう両親を説得するかに頭を悩ましながら、僕の目の前でニコニコとしている`雪女`の頭をなでるのであった。
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