操作わからないままトレーニングモードにこもった結果、世界最強になってました 〜最弱職業で世界最強なりました〜

羅門

プロローグ:正体不明のプレイヤー

時間帯は夜、ネオンが滲む未来都市『トウキョウ』。

ビルがそびえ立ち、高速道路が絡まる。

空中にはモニターが浮かび、流暢な英語の音声が響く。

そんな中、一つの『異変』が混じる。



「くそッ! 前衛が侵略者インべーダーにやられた!」


「早く増援を呼んでくれ! どんどん湧いてくる!」



プレイヤー部隊は混乱に陥っていた。

混乱の原因は体が機械で構成された巨大な怪物、突如街に現れた侵略者インべーダーによるものである。

中には鳥類型、爬虫類型など様々な種類のものが存在する。

その怪物は、獣のように前衛のプレイヤー達を薙ぎ倒し蹂躙していく。

盾役が吹き飛び、火花が散る。

その状況を超高層ビルの屋上から見下ろす影がいた。


「おー、手こずってんなぁ〜。」


黒いフードに身を包み、低い金属音を鳴らして鉄製の大型トランクを肩に担ぐ。


「今日も頼むぞ相棒。」


男がそう言うと、トランクが返事をするようにブーンと機械音を発する。


「うし、さっさと片付けるか。」


軽く膝を曲げ───空中に飛んだ。


重力に身を任せ、地面へ落ちていく。


そして着地したと同時に轟音が鳴り響き、地面が抉れる。


チャットにコメントが溢れかえる。


(なんだアイツ!?)


(あの黒いフード、カイラか!?)


(カイラ来た!!)


彼の名前はカイラ───。

どこのクランにも属せず、リリースから半年に突如現れ、トップランカーすら手も足も出なかった『正体不明のプレイヤー』。


「お掃除タイムだな。」


直後、持ち手にあるスイッチを押すとトランクが形を変え、やがて槍に変形した。

これがさらにカイラの謎を深める要因でもある。


(一体なんなんだよアイツの武器! 課金アイテムか!?)


(このゲームに課金制度は無いはずだぞ!)


チャットの反応も気にせず、カイラは侵略者インベーダーの大群に突っ込む。

侵略者インベーダーも彼に気付き、襲いかかる。


「よっと。」


跳躍し、侵略者インベーダーの体に飛び乗る。


「首切りまーす!」


その声は明るい。

スケート選手のように背中を滑り、うなじに到達し、槍を突き刺す。


@&#@:×436:………!!!


エラー音のような断末魔が響く。

一心不乱に振り解こうと体を揺らす。


「うるせーなあ。」


突き刺した槍を抜く。

直後、槍は徐々に形を変えていき、大剣に姿を変えた。


「よいしょー!」


そして横一文字に大剣を振りかぶり、機械でできた首を切り落とした。


「はい一体目終わり。」


切り落とされた首がボトリと地面に転がり、侵略者インベーダーは力なく倒れる。


「あとは何匹だ? あー、大体10体くらいか。めんどくさいからこれで決めよう。多分それでいける。」


怪物達は重低音を発しながら猛スピードで迫る。


カイラは槍を低く構える。



牙突・神速─────




次の瞬間、そこには『結果』だけが残る。



怪物達の体には正確に貫いた痕が残されていた。


その速さに『世界が置いて行かれた』のだ。


そして結果の後に突風が周囲に襲う。


トップランカーですら反応できない、人の目では追えない速度。


一拍静まり返ったチャット欄にコメントが一気に流れ込む。


(え? 何が起きた?)


(動き全然見えない!!)


(これスーパースローにしても見えなくない?!)


「じゃ、俺はこの辺で。後処理よろ。」


カイラは骸になった侵略者インベーダーを背に、飛び上がる。


(カメラ追え! 早く!!)


(もう消えてる!)


(どこ行ったんだよ!!)


もう気づいた頃には彼は夜空に消えていた、骸と謎を残して。


だが彼らは知らない。



彼がチュートリアルを終えたくらいの初心者であることを。

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