第28話 プール後のラブラブ心理掘り下げ会

 プールでのドタバタ遊びが終わり、午後の日差しがやわらかく差し込むプールサイド。

 彩花は濡れた髪をかき上げ、早水の隣で座っていた。


「……あー、今日は楽しかったね」

 彩花の声は少し息が上がっていて、頬も赤い。


「う、うん……楽しかった……」

 早水は少し照れながらも、彩花の隣に肩を寄せる。


 水滴がポタリと落ち、二人の間の距離を一瞬だけ意識させる。

 彩花は心の中で自分を鼓舞する。


(あたし……今、早水くんの隣にいるんだ……しかも手もつないで……!)


 一方、早水も内心では焦りと幸福感でいっぱいだった。

 普段は冷静で落ち着いている自分が、彩花の笑顔を見るだけで心臓が跳ねる。


(彩花、こんなに近くにいると……ドキドキして……でも、嬉しい……)



 拳ちゃんは少し離れた場所から二人を見守っていた。

 凛花もプールサイドに座り、日傘の下から二人を観察する。


「ふふ、やっぱり二人はラブラブね。彩花の表情、完全に恋する乙女ってやつ」

「……ああ、確かに……」

 拳ちゃんも内心で微笑む。二人の自然な距離感に安心感を覚えていた。



 彩花は小さく息を吸い込み、勇気を出して早水に顔を向ける。


「ねえ、早水くん……あたし……なんか、緊張しちゃう。手をつなぐだけでも、こんなにドキドキするなんて」


 早水は目をそらさず、ゆっくりと答える。


「彩花……俺も……同じだ。手をつないでるだけで、すごく落ち着くのに、同時に心臓がドキドキする」


 彩花は少し笑い、手を握り返す。

 指先から伝わる温もりに、心がじんわりと温かくなる。


(……やっぱり、早水くんといると落ち着く。けど、なんでこんなにドキドキするんだろう……)



 その後、プールサイドで二人は並んで座り、水に足を浸しながら小さな話をする。


「今日は本当に楽しかったね。彩花の笑顔、いつもより可愛かった」

「え……そ、そんなこと……」

 彩花は顔を赤らめ、少し俯く。


「いや、嘘じゃない。あたし、彩花の笑顔見るのが好きなんだ」

 早水の言葉に、彩花の心は跳ねた。


(……早水くん……あたしのこと、ちゃんと見てくれてる……)


 その瞬間、彩花の中の不安や迷いが、一気に溶けていく。

 過去のギャル姿や、自分の強気な面も、全部含めて早水は受け入れてくれていると実感する。



 帰り道、二人は歩きながら手をつなぐ。

 夕暮れが街をオレンジ色に染め、二人の影が並んで伸びる。


「ねえ、彩花……」

 早水が少し照れた声で言う。


「うん?」


「……これからも、ずっと一緒にいてくれる?」

 彩花はその言葉を聞き、胸が熱くなる。


「もちろん。早水くんと一緒なら、あたし……ずっと笑っていられるもん」


 その言葉に早水も笑顔を返し、二人の距離はさらに縮まった。

 日常の中での小さな触れ合いが、二人の絆を確かなものにしていく。



 夜、家に帰った彩花は鏡の前で笑みを浮かべる。

 プールでの楽しかった記憶と、早水の優しい言葉が心に残る。


(……あたし、本当に幸せだな……)

 その胸の高鳴りが、明日への勇気と自信に変わっていくのを感じる。

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