人間電卓静子さんと解析班の井草くん
Nanatu772
プロローグ
「私は文芸部を破壊します」
堂々たる立ち姿で行われた[宣言]を、僕は静かに聞いていた。
彼女には[人間電卓]という体質が備わっている。
数字を入力するかの如く、情報を取り込めば自ずと[答え]が導かれるという、説明されても全く理解できない体質だ。
[答え]を導く速度は群を抜いていて、他を寄せ付けることはない。
しかし、[人間電卓]には、
「なぜ、その答えが導かれたのかわからない」
という致命的な欠陥があった。
[答え]はわかっても、過程がわからない。
欠陥を補うべく、彼女は僕に[解析班]という役割を与えた。
[答え]を解析して、
「なぜ、その答えが導かれたのか」
を明らかにしろとのことだ。
とんでもない無茶を言う人ではあるが、面白いことを考える人だと思った。
彼女は、[答え]のみを信じ、迷いなく突き進む。
たとえ、目の前が茨の道であろうとも。
僕は、[解析]してトゲを取り除く。
たとえ、彼女が望まなくても。
彼女が出した[答え]の先に、[宣言]がある。
[人間電卓]を持つ彼女が、一体どんな[答え]を出したのか。
それはきっと、[解析班]の僕しかわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます