第23話 初心者が最初にやるべきこと5選

「小説を書いてみたい」と思って参考書を開く。

するとだいたい、こう書いてある。


キャラクターを考えよう


世界観や設定を作ろう


プロットを立てよう


……でも正直、ピンとこない。

キャラを考えても世界観を作っても、物語が動き出さない。


結論から言うと、初心者の最初の一歩はここです。


“設定を固める”より先に、まず5000字書く。

これは精神論ではなく、上達の順番として合理的です。


なぜ「設定作り」から入ると止まるのか


初心者が設定で詰まる理由は単純で、設定は“止まった状態”でも作れてしまうからです。


キャラの髪色や身長は決められる


国や魔法体系も決められる


でも、それだけでは物語が1ミリも進まない


物語が動くのは「人が何かをやる」時だけ。

だから最初に必要なのは、作り込みではなく**“動かす経験”**です。


まず何から始めるべきか:初心者のための5つのスタート法


ここからは「最初の一歩として再現しやすい順」に、5つの方法で整理します。


1)迷わない主人公を置く(悩ませすぎると話が進まない)


初心者が最初にやりがちなのが、「内面を深くしよう」として主人公を迷わせすぎることです。


もちろん葛藤は大事です。

ただ、最初の段階では “迷う=停止” になりやすい。


おすすめはこうです。


行動の方向が決まっている主人公


目標が単純な主人公


「とりあえず行く」「とりあえずやる」主人公


動けば、話が進む。

話が進めば、作者の筆も乗る。

その後で、必要な設定が見えてきます。


2)短編より「第1話だけ」でいい(まず実績解除が最優先)


よく「短編を書け」と言われますが、それはそれでおすすめなのですが、じつは短編は地味に難しい。

理由は、畳まないといけないからです。


だから初心者の最初は、もっと緩くていい。


第1話(2000〜3000字)だけ書く。

完結しなくていい。まず「書いた」という実績解除をする。


第1話を書くだけで、勝手に学びが発生します。


説明が多すぎた


会話だけで進まなかった


インパクトが弱かった


主人公が何者か伝わらない


これが次の改善点になります。


3)“書きたいシーン”から書く(脳が焼かれた場面を先に出す)


初心者が小説を書きたくなる時って、たいてい理由があります。


このバトルが書きたい


この告白シーンが書きたい


このざまぁ(破滅)が書きたい


この溺愛(偏愛)が書きたい


つまり、あなたの中にはすでに「核」がある。


なら、そこから書いた方が早い。

好きなシーン→楽しい→続きを書きたくなる、という順番でモチベーションが回り始めます。


最初から「正しい導入」を作ろうとすると、だいたい止まります。


4)物語が動かないなら「場所を変える」(移動=ストーリー)


物語を動かす最も簡単な方法のひとつが、場所の移動です。


昔話でも同じ構造です。


桃太郎は川→家→旅→鬼ヶ島→帰還


浦島太郎も浜辺→竜宮城→浜辺(時間はズレる)


つまり物語は「移動する」ことで自然に進行します。

逆に言えば、同じ場所に居続けると、読者は“停滞”を感じやすい。


だから初心者は、難しい理屈より先にこれだけでいい。


村→草原→宿屋→ギルド→森→牢屋→城


これだけで場面が変わり、出来事が生まれます。


5)最後はこれ。「トラブルを1個転がせ」(死体を転がせ理論)


推理小説は「死体を転がせ」と言われます。

同じ理屈で、どんなジャンルでも最初はこうです。


事件(トラブル)を1個、最初に転がす。


追放される


殺されかける


借金を背負う


失恋する


仕事を失う


異世界に落ちる


トラブルを入れると、主人公は動かざるを得なくなる。

作者も書かざるを得なくなる。


ストーリーは雪だるまです。

最初は小さい球を転がすだけで、勝手に膨らみます。


まとめ:初心者の最初の勝ち筋は「設定」ではなく「5000字」


初心者が最初にやるべきことは、作り込みではありません。


迷わない主人公で


第1話だけでもいいから


書きたいシーンから


場所を変えつつ


トラブルを転がして


まず5000字。


それが一番早く「小説が書ける状態」に入れます。

設定や世界観は、その後でいくらでも強化できます。

むしろ、書いてからの方が“必要な設定”だけが見えてくる。




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