娯楽小説として評価させてみた

 人はなぜ小説を読むのか?いくつも答えがあるでしょう。高尚な答えもあるでしょうが、最も多いのは「楽しいから」でしょう。小説を提供する側、つまり作家も皆を楽しませようとして作品を作ります。


 しかしながら、どんな作品を楽しいと思うかは読者によります。先に「文学を読む読者には、語彙、論理的思考、共感力、背景知識や時代性の理解が必要」と書きましたが、どんな物語にせよ受容能力が高い読者は安直な話では満足しませんが、受容能力の乏しい読者は難しい話にはついていけません。


 そこで、多くの人々に楽しんでもらえる物語は理解のしやすさ、没入感の得やすさ、登場人物への共感しやすさ、筋書きの面白さ、カタルシスが求められます。ところが、これが度を過ぎパターン化するとマンネリになります。昨今の異世界、チート、無双、モテなどをてんこ盛りにしたライトノベルの大半は典型的にこれに当てはまるでしょう。


 マンネリ娯楽小説は文学の大衆化とともに誕生したもので、文芸評論家の百目鬼恭三郎は、戦前から戦後にかけて大量生産された通俗小説を批判し『読者に頭を使わせずに、低俗な欲求を満たすことだけが要求され、従って文章は下品でなければならず、登場人物は紋切り型で、月並みな行動パターンと、必然性のないご都合主義の筋書きに乗って動くのが特徴”である』と言っています。


 ただ、誤解してはいけないのは、娯楽小説の中にもマンネリを脱する優れた作品はあるわけで、例えば、吉川英治の「宮本武蔵」は発表当初は剣豪小説とされていましたが、今では人間の成長を描いた物語と受け取られていますし、松本清張の作品も、犯罪小説、刑事ものとして世に出ましたが、今では、人間の本質を描いた優れた作品と評価されるようになってきています。


 要は理解のしやすさ、没入感の得やすさ、登場人物への共感しやすさ、筋書きの面白さ、カタルシスを備えつつも時の試練に耐える作品は可能なわけです。


 ということで今回AIに出す指示はこんな感じです。

「この作品を娯楽小説として、①理解のしやすさ、②没入感の得やすさ、③登場人物への共感しやすさ、④筋書きの面白さ、⑤カタルシス、という5の観点で点数評価してください。各項目20点満点とする。点数の基準は、満点が一流のプロ級、半分でコンテスト入選レベルアマチュアとする。各観点について200文字程度で解説してください。さらに、この作品が十年後にどのように評価されるかについて1000文字程度でコメントしてください。作者への配慮は一切なしで」

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