警察組織の真実に迫る!現代における鬼退治とは
甘井 サト
プロローグ:2年前 警察の最初の過ち
「この得体の知れない生き物が…これが本当に写っていたというのか」
薄暗い本部の一室のモニターに写し出された緊急報告書に雉屋広海刑事部長は顔面蒼白になり、モニターを凝視した。
桃ノ木町郊外の山の中で起こったとされる「熊による事故死」の現場で、部下が撮影した一枚の画像には薄暗い森の奥で、獣とも人ともつかない巨大なシルエットが写り込んでいた。
それは熊ではない。
これを「熊による事故死」として片づけるのはあまりにも無理がある。
これは何者かによって意図的にデータの改ざんが行われているのだ。
彼の震える指が報告書の画像を拡大しようとしたその時、部屋の扉が開く音がした。
ガチャ
須佐警察本部長が無言で入室してくる。
彼の表情にはいつもの冷静さはなく、異様なまでの焦燥感と恐怖心に満ちていた。
「雉屋、その報告書を直ちに破棄しろ。」
雉屋はにわかに信じがたい表情をしながら須佐本部長に言った。
「本部長、これを熊による事故死として片づけるにはあまりにも無理があります!」
「今すぐにでもこの事実を公表して、国民の安全の確保をしなければ警察の威信が…」
須佐本部長は冷たく言い放った。
「公表はしない。」
「我々警察がこの事実を公表すれば必ず国民は混乱する。」
「それどころか下手をすれば警察組織の信頼は崩壊する。」
「いいか、お前の部下は、熊に襲われて死んだんだ。」
雉屋は須佐のあまりにも狂気じみた表情に息を飲んだ。
彼は一体何に怯えているのか、組織の保身のためか、得体の知れない化け物のためか。
雉屋はこれ以上彼を追求することを諦めた。
「...了解しました。」
須佐本部長は雉屋へ指示した後、自身の席へ戻り、パソコンのモニターの文字に目をやった。
ーー世界を恐怖に陥れるーー
ーーそれから2年後 ーー
桃谷太郎巡査部長は、正義の信念を胸に、今日も桃ノ木町の平和を守るためパトロールをしている。
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