第7話







  女子高生となればウエスト、ウェイトが気になるお年頃。


 しかし、ウィラとナギ、カズサは少し違った。


 お昼ごはんでアンパンと牛乳のルーティンを譲れないカズサはともかく、ウィラはキツネうどんのお揚げを2枚に増量し、更にはナギの隙を見て盗み食いをすることもある。


 もちろん盗み食いをされていることに気付いているナギは、ウィラの行動を笑って許しているが、その理由は言うまでもなく食堂のおばちゃんの過剰サービスで、漫画盛りのご飯、それからおかずが増量されているのだからだ。


 食べても太らないって訳ではないけれど、ウエスト、ウェイトに反映されない彼女たちが本気を出したらどうなるのか?


 そんな訳である日の放課後、彼女たちは回転寿司へとやって来たのであった。


「うーん、どれにしようか迷いますな」


「コハダ食べる人」


「「はーい」」


「コハダ3皿と……マグロは赤身とビンチョウ、それから中トロがあるけど」


「うち、赤身とビンチョウ」


「会長と同じっす」


「はい、赤身とビンチョウも3皿ずつ……イカは? ヤリイカの姿がおすすめだぜ?」


「いるっす」


「うちも同いで」


「はい3皿……イナダは?」


「食べるっす」


「ハマチとちゃうんか?」


「同じ同じ、今では天然ものをイナダって言うらしいな」


「元々は関西、関東の違いやっけ?」


「そうっす。天然ものっすから、脂のってるかは食べてからのお楽しみっすね」


「おっ、新幹線が早速来たで」


「はい、お待ち」


「姐さん腕が長いっすから任せるっす」


「ああ、いいぜ」


「あ、新幹線が帰りおったな」


「こんな感じで頼めばどんどん運んでくれる」


「ほんで皿はどないしたらええねん? ここに載せればええんか?」


「会長、レーンに戻しちゃ駄目っす。皿はそのまま重ねて置けばいいっす」


「そういえばウィラ、お前は回転寿司初めてだって言ってたな」


「せやせや、今日がうちの回転寿司デビューや。せやけどあれや、なんか思っとったんのとちゃうな」


「そうっすね、今はレーンで回すよりもレールで送ったほうがいいっすからね」


「ネタが乾いちゃうからな。これだったら握りたてが送られて……はい、どうぞ」


「あ、うちタイ頼んでもええか?」


「会長、遠慮しないでどんどん頼むっす。私はサーモンっすね」


「いくらは頼むか?」


「それもいいっすね。会長は?」


「うちも同いで」


「あたしは中トロも追加」


「あ、うちも」


「私もっす」


「ウィラ、オバタ、とりあえず全部3皿ずつ頼めばいいよな?」


「そうっすね、寿司で好き嫌いはないっすから」


「うちもや。出来ればさっぱり系がええんやけど、脂のっててもかめへんで」


「ウィラ、お前は関西出身だもんな」


「せやせや、よう食べるいうてもこっちとはちゃうからな」


「それはそれで気になるっすね。私は内陸出身っすから」


「そうだよな。流石に刺し身で食べないけど、あたしらの地元って、普通にサメの切り身売ってるからな」


「サメ売ってるんか? イケ◯のあれか?」


「ちょっと違うっすね。イ◯アのサメは、ヨシキリザメっすから、基本的に練り物っす」


「そうそう、切り身で出回るのがモウカザメって奴でさ」


「ほぇー、知らんかったわ。魚の話で一つ賢くなったわ」


「DHAも豊富だからな」


「ほんならこのあと、勉強会でもやりましょか?」


「会長、その頃にはお腹いっぱいで頭回らないっすよ」


「はい、お待ち。次はなに頼む?」


「せやな、ほんならカンパチとイワシ」


「変わり種のハンバーグもいいっすね」


「長野県ではサラダが定番らしいぜ」


「ほぇー、ナギはあれやな。食べ物系の知識やったらめっちゃ博識やけど、勉強の話はあかんな。あ、このミル貝ってなんや?」


「あー、なかなか特徴的な貝っすよね」


「ああ、水管を食べるんだけど……その水管がさ、ちょっとアレな見た目なんだよな……」


「なんや? カズサちゃん、ナギ、なに目ぇそらしとるんや?」


「ま、これも勉強だ。オバタ、ウィラにミル貝の画像を見せてみろ」


「了解っす」


 この後、彼女たちの座るテーブルから絶叫に続き、大笑いに包まれたのは言うまでもない。


 一頻り笑った彼女たちは、再び寿司を注文し続けてブラックホールのような胃袋に吸い込まれていったのであった。


 もちろん大量のお寿司を完食した代わりに、翌日は少し控えめに、そう誓う無敵のJKたちであった————。







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