第7話
◇
女子高生となればウエスト、ウェイトが気になるお年頃。
しかし、ウィラとナギ、カズサは少し違った。
お昼ごはんでアンパンと牛乳のルーティンを譲れないカズサはともかく、ウィラはキツネうどんのお揚げを2枚に増量し、更にはナギの隙を見て盗み食いをすることもある。
もちろん盗み食いをされていることに気付いているナギは、ウィラの行動を笑って許しているが、その理由は言うまでもなく食堂のおばちゃんの過剰サービスで、漫画盛りのご飯、それからおかずが増量されているのだからだ。
食べても太らないって訳ではないけれど、ウエスト、ウェイトに反映されない彼女たちが本気を出したらどうなるのか?
そんな訳である日の放課後、彼女たちは回転寿司へとやって来たのであった。
「うーん、どれにしようか迷いますな」
「コハダ食べる人」
「「はーい」」
「コハダ3皿と……マグロは赤身とビンチョウ、それから中トロがあるけど」
「うち、赤身とビンチョウ」
「会長と同じっす」
「はい、赤身とビンチョウも3皿ずつ……イカは? ヤリイカの姿がおすすめだぜ?」
「いるっす」
「うちも同いで」
「はい3皿……イナダは?」
「食べるっす」
「ハマチとちゃうんか?」
「同じ同じ、今では天然ものをイナダって言うらしいな」
「元々は関西、関東の違いやっけ?」
「そうっす。天然ものっすから、脂のってるかは食べてからのお楽しみっすね」
「おっ、新幹線が早速来たで」
「はい、お待ち」
「姐さん腕が長いっすから任せるっす」
「ああ、いいぜ」
「あ、新幹線が帰りおったな」
「こんな感じで頼めばどんどん運んでくれる」
「ほんで皿はどないしたらええねん? ここに載せればええんか?」
「会長、レーンに戻しちゃ駄目っす。皿はそのまま重ねて置けばいいっす」
「そういえばウィラ、お前は回転寿司初めてだって言ってたな」
「せやせや、今日がうちの回転寿司デビューや。せやけどあれや、なんか思っとったんのとちゃうな」
「そうっすね、今はレーンで回すよりもレールで送ったほうがいいっすからね」
「ネタが乾いちゃうからな。これだったら握りたてが送られて……はい、どうぞ」
「あ、うちタイ頼んでもええか?」
「会長、遠慮しないでどんどん頼むっす。私はサーモンっすね」
「いくらは頼むか?」
「それもいいっすね。会長は?」
「うちも同いで」
「あたしは中トロも追加」
「あ、うちも」
「私もっす」
「ウィラ、オバタ、とりあえず全部3皿ずつ頼めばいいよな?」
「そうっすね、寿司で好き嫌いはないっすから」
「うちもや。出来ればさっぱり系がええんやけど、脂のっててもかめへんで」
「ウィラ、お前は関西出身だもんな」
「せやせや、よう食べるいうてもこっちとはちゃうからな」
「それはそれで気になるっすね。私は内陸出身っすから」
「そうだよな。流石に刺し身で食べないけど、あたしらの地元って、普通にサメの切り身売ってるからな」
「サメ売ってるんか? イケ◯のあれか?」
「ちょっと違うっすね。イ◯アのサメは、ヨシキリザメっすから、基本的に練り物っす」
「そうそう、切り身で出回るのがモウカザメって奴でさ」
「ほぇー、知らんかったわ。魚の話で一つ賢くなったわ」
「DHAも豊富だからな」
「ほんならこのあと、勉強会でもやりましょか?」
「会長、その頃にはお腹いっぱいで頭回らないっすよ」
「はい、お待ち。次はなに頼む?」
「せやな、ほんならカンパチとイワシ」
「変わり種のハンバーグもいいっすね」
「長野県ではサラダが定番らしいぜ」
「ほぇー、ナギはあれやな。食べ物系の知識やったらめっちゃ博識やけど、勉強の話はあかんな。あ、このミル貝ってなんや?」
「あー、なかなか特徴的な貝っすよね」
「ああ、水管を食べるんだけど……その水管がさ、ちょっとアレな見た目なんだよな……」
「なんや? カズサちゃん、ナギ、なに目ぇそらしとるんや?」
「ま、これも勉強だ。オバタ、ウィラにミル貝の画像を見せてみろ」
「了解っす」
この後、彼女たちの座るテーブルから絶叫に続き、大笑いに包まれたのは言うまでもない。
一頻り笑った彼女たちは、再び寿司を注文し続けてブラックホールのような胃袋に吸い込まれていったのであった。
もちろん大量のお寿司を完食した代わりに、翌日は少し控えめに、そう誓う無敵のJKたちであった————。
◇
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