東大下克上野球物語
長濱こうき(元作家を目指す浪人生)
第1話
俺はその日運命を変える試合を見た。
俺は県大会で三回戦で負けて、次の日気分が落ちてる頃に、ゆいぽんかモチベーションあげるために、大学の試合を見に行こうよと言われて、俺は試合を見に行くことにした。
「今日はどこ対どこなんだ?」
「東大対早稲田だよ」
「どっちも俺の成績じゃ縁のない大学だな」
俺の成績は下の下であるMARCHなら受かるかもしれないが、早慶と東大など夢のまた夢である。まぁ公務員になりたいから、MARCHでも十分だが。千葉高校にいったのは野球部がそこそこ強くて、進学校だからだ。ここなら文武両道をできると思ってだ。
まぁ実際はそんな甘くなく、野球に熱中するあまり、成績は落ちていき、文武両道は体現できなかったが。
「早稲田に行くためのモチベーションをあげるのにも最適だから行くんだよ」
ゆいぽんは千葉高校でも成績上位である。アイドルをやりながらなのにな。俺とは違って、記憶力がいいから、授業を集中して、受けて、少し復習をしてるだけである。
「レッスンは今日ないのか?」
「ないよー。暇だし、ちょうどいいかなと思ったんだ。今孝燃え尽きてるでしょ?そのまんまじゃ受験も次の大会もまならないでしょ」
さすが幼馴染み俺のことをよく見てるな。そう俺は大会が終わり、なにもやる気が起きなかった。というのも俺のひとつ上の世代は黄金世代といわれ、このチームが甲子園に行けなきゃ今後行けないだろうと言われていたのだ。結局千石大松戸に僅差で負けてダメだったんだが。俺も甲子園に行くために全力で頑張った。だがやっぱり甲子園に行く強豪校に勝つのは無理だった。それで燃え尽き症候群なのだ。
「まぁな、でも早稲田なんて、無理だろ」
「試合見に行くだけでも変わるかもよ。何事もやる気だよ!」
俺はそう言われて、試合を見に行くことになった。神宮球場に着くと、多くの人がいた。さすが大学野球、買うこう野球に劣らぬ熱気だ。
俺達は中に入り、東大の応援団よりの席に座った。
「いやなんで、早稲田よりじゃないんだよ」
「昨日買ったから、席ここしか取れなかったんだよ」
「まぁ俺はどっちでもいいから、別にいいが」
どっちも雲の上の存在だし。
そうして試合前のシートノックが始まった。早稲田は甲子園に出場しているものが多く、一つ一つのプレーが洗練されている。それにたいして東大はうまくはないが、一つ一つを全力でプレーして、絶対に勝ってやるといった気概を感じた。俺はそれを見てまるで高校球児のようだなと思いながら、胸からなにかが沸き立つのを感じた。
そして試合が始まる。早稲田はやはり強い。スイングのスピードや球の球威からして別物だ。しかし東大もそれにしっかり食らいついていく。てっきり頭脳プレーを想像していたから意外だった。
「東大も強いね。推薦がないのにこの強さなんて」
「ああ、そうだな」
俺はそのヒトプレーヒトプレーに目が奪わばれていた。全力で勝ちにいくのがここまで美しいとはな。そしてゼロゼロで迎えた最終回、試合は動く。
九回表、ツーアウトランナー二塁で、東大の4番が打席に立つ。目がギラギラしていて、甘い球がきたら打ち損じのないようにしてやるといった思いを感じた。
そして真ん中高めの甘いボールがきてそれを東大の4番は打った。左中間を切り裂き、タイムリーツーベースになった。
「っしゃー!」
その瞬間打った打者拳を突き上げて、雄叫びをあげる。そして東大ベンチ、観客席からは割れんばかりの盛り上りを見せる。俺はそれに心が踊った。
そして裏の攻撃はツーアウトになった。皆がドキドキしながら、近況を見まもる。
そして早稲田の打者が、低めに落ちるスプリットを振って三振になった瞬間、まるで優勝したかのように、ベンチからナインが飛び出した。この一勝は東大にとっては意義のあるものだろう。俺はその瞬間、東大でプレーしたいと思った。優勝したら、どんなことになるんだろうとも思った。
「ゆいぽん、俺東大目指すわ」
「え、東大?!早稲田じゃなくて!」
「ああ、俺はあのチームでプレーがしたい。だから野球部をやめて猛勉強する」
「そっか、それなら私も東大受けるよ」
「早稲田じゃなくていいのか?」
「孝と同じ大学にいきたいし、それに難関大学なら、どこでもアイドルとしてはプラスだから、そこまでこだわりもなかったしね」
「そうか、それなら一緒に頑張るか」
それから野球部を辞めて、猛勉強をした。狂ってるんじゃないかってくらいにな。そして合格発表日。
「受かったぞ!よっしゃー」
「私もだよ。やったね」
二人でてを取り合って、喜んだ。
そして、とうとう野球部に入り、自己紹介が始まる。
「それでは次!」
「県立千葉高校出身千葉孝です。六大学優勝を目指しています!よろしくお願いします」
「優勝だってよ。さすがに無理に決まってるだろ」
「俺あいつの高校と対戦したことあるけど、見たことないぜ」
そういった嘲笑するような声も聞こえてくる。まぁ関係ないが。だがキャプテンだけは俺の言葉を聞いて、値踏みするように見ていた。
ここから伝説といわれる東大の野球部の物語が始まるー
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